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バスケットボールのシュートはゴール下とスリーポイントだけでよい?

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NBAのゴールデンステイトウォリアーズやヒューストンロケッツのスタイルと成功を見るまでもなく、近年のバスケットボールは完全にスリーポイントとゴール下(とフリースロー)のシュートに偏重しています。

その一方、ミッドレンジのシュートは価値のないものとされています。

   

一本のショット。2点シュートとスリーポイントとどちらが効果的かというものです。成功率55%の2点シュートの場合、「期待値」は2(点シュート)×55%=1.1 これが成功率40%のスリーポイントシュートだと、3×40%=1.2

   

前にも書いたとおり、これがその理由です。

   

この「バスケットボールの大変化」について、ウォールストリートジャーナルの記者の方が”また”面白い記事を書かれていたので要約してみました。

*本当に面白いです。ぜひご一読を↓

   





   

<以下、要約>

これはバスケットボールの未来である。

◆ミネソタ州のパインシティ(Pine City)ハイスクールのバスケットボールチームが、徹底的にスリーポイントとゴール下に特化している。


◆あるゲームでは、64のフィールドゴール試投のうち、62がレイアップかスリーポイントであった。


◆一方で、ミッドレンジシュートは全体の4.2%。これはどのNBA、NCAAディビジョン1チーム、またおそらくアメリカのどの高校チームよりも低い数字。

   

◆コーチのカイル・アレンはそれでも、もっとミッドレンジシュートを減らしたいと考えている。


◆パインシティ・ドラゴンズには、6-2以上の身長の選手がいない(つまり、特にアメリカでは小さい)。よって、シンプルに、極端に、”high percentage shots"を追求することにした。


◆NBAでもこの傾向は強まるばかりで、中でもヒューストン・ロケッツのミッドレンジシュートの割合は8.6%のみ。エース、ジェームス・ハーデンのシュートの87%はフリースローかレイアップかスリーポイントである。

NCAAに目を移せば、今季優勝候補の一つである強豪UCLAの一年生エースガード、ロンゾ・ボールのその割合はなんと99%である。


◆29歳のコーチ、アレンは「マネーボール」の影響を受けた。

   

   

   

◆アレンは多くの時間をKrossoverによるデータ分析に割いた。*日本でも同様の分析は可能だと思います。


◆パインシティ高校のスリーポイントショットは全体の59%を占める。


◆コーチ、アレン「多くの若い選手はポストムーブを好まない。アウトサイドショットを好む。パインシティの選手は毎日の練習で数百本のスリーポイントシュート練習を課している。シャックのような支配的なビッグマンがいないからだ。」しかし、、、


ロサンゼルス近郊サンタモニカのクロスロードハイスクールはパインシティとは違っていた。6-10のシャックの息子、シャリーフ・オニールがいたからだ。Krossoverのデータによると、クロスロードは3000近い高校のどこよりもスリーポイントシュートが少なかった。が、いまやこのシャリーフもスリーを打つようになった。”彼はシャックよりKG(ケビン・ガーネット)に近い”。


◆パインシティにはKGもシャックもいない。この田舎町はスポーツよりアートで知られていた。*パインシティはミネアポリスと(ボブ・ディランの故郷)ダルースの間にある。数年前、シューティングマシンを手に入れたドラゴンズは、昨季348本成功という、ミネソタ州のスリーポイント記録を更新した。


◆アレンはゲーム前のフィルムセッションでオフェンスの話をしない。ディフェンスを見せ、リバウンドのポジション取りを確認する。


◆もちろん、パインシティの戦略がいつも上手くいくわけではない。現地1月24日には、昨季のミネソタ州(クラスAA)チャンピオン、ブラハム・ボンバーズにホームで敗れた(アウェイでは勝利)。この時のスリーポイントは7/37(18.9%)で、ここ数年で最悪だった。でも、それでも、、、

   

But the players and coaches weren’t discouraged. Allen assured the Dragons in the locker room that there would always be games when their shots didn’t go in. “The percentages even out,” he said. And the percentages would always be on their side.

   

<要約ここまで>

   




   

人口の8割以上が白人であるミネソタ州の高校バスケットボールは、決して低レベルではありませんが、大都市シカゴを持つイリノイ州やインディアナ州などに比べると高くもない。そのミネソタ州の中でも100位以内に数えられないであろう学校が、このような試みをしているところにアメリカのバスケットボールの深さを感じ入ります。

日本はどうでしょうか。188センチ以上の選手がいない高校など、ごまんとあるのではないでしょうか。大学ももちろん、プロリーグにおいても世界に通用するようなビッグマンはいるでしょうか。

記事では、この高校は"extreme"つまり”極端”と表現されていますが、、、

   

日本は早急に、この”極端”路線にシフトするべきだと思います。
大きい選手、7フッターさえスリーポイントを打つ時代。もうのんびりしていられない。

   

<追記>
パインシティハイスクールの戦績:この投稿時点で13勝5敗*上記ブラハムも所属する、Great Riverというリーグでは10勝3敗で2位

   

<参考>
アメリカの多くの州の高校同様、ミネソタ州も”クラス”ごとに優勝を争います(学校の種類、規模など、わかりやすく言えばNCAAのディビジョンと同じ)。

昨季で言えば、クラスAAのチャンピオンが上記の通り、ブラハム。*パインシティはAAの8強にも残れず。

クラスAはミネアポリスのノースコミュニティで、ここは過去にコネティカット大学に進んだカリッド・エル=アミンを輩出。

クラスAAAの昨季優勝はデラサール。ミシガンステイトに進んだアラン・アンダーソンを輩出。*2020年にBリーグ島根にやってきた、リードトラビスも。

そしてクラスAAAA優勝がホプキンス。ここも有名校で、クリス・ハンフリーズ(ミネソタ大学)やロイス・ホワイト(アイオワステイト大学)、そして今季ビッグテンのROY候補アミア・コフィ(ミネソタ大学)を輩出。非常に強いとされたアップルバレーを準決勝で退けました。

アップルバレーには、今季カリフォルニアのプロリフィックに転校したゲイリー・トレントJr(デュークに進学決定)や、同じくデュークに進んだNBA選手タイアス・ジョーンズの弟トレイ・ジョーンズがいました。

デラサールは私立ですが、公立が強いのはこの州の特徴。

バスケットボール特化型の学校はまだ現れていない、良くも悪くもどちらかと言えば”のんびりした”雰囲気なのがミネソタ州の高校バスケットボール。

それでいて、日本とは比べものにならない環境ですから(*州最後の高校トーナメントはNBAウルブズのホーム、ターゲットセンターやミネソタ大学のウィリアムズアリーナで行われます)、、、やはり「奇策」が必要でしょう。。。

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