引き続き冬は極寒の地。運転注意。
Detroit(デトロイト)エリア
成田からノースウェストの直行便あり。
75号線南下後、オハイオ州トレドで80/90号線EAST(有料)に乗り換え、計3時間でクリーブランド。デトロイトは国境の町。カナダに入って計4時間でトロント。西方面、シカゴへも5時間で着く。
デトロイト・ピストンズ
歴史ある球団。
前身のフォートウェイン(インディアナ州)ピストンズのNBA加入が1948年。レイカーズなどとともに、現存NBA球団では4番目に古い。
デトロイトへの移転は1957年。’55年、’56年と連続で準優勝したものの、長らくセルティックスやレイカーズの陰に隠れた。
”バッドボーイズ”で初優勝したのが1989年。51年かかっての初タイトルであった。鬱憤をはらすように、翌’90年も連覇。2004年にも優勝。’05年もファイナル進出と、選手としてもフロントとしても多大な貢献をしたジョー・デュマースの手腕が光る。
確実にプレイオフに出てくる強豪球団となったが、現在は世代交代でやや苦労している感がある。
創設以来の長いトンネルに光が差したのはやはり’81年ドラフトでのアイザイア・トーマスだろう。翌’82年にはクリーブランドからビル・レインビアー、ソニックスからビニー・ジョンソンをトレードで獲得。’85年はドラフトでデュマース指名とリック・マホーン加入。’86年にジョン・サリーとデニス・ロッドマンをドラフト。’88年にベテランセンタージェイムス・エドワーズ獲得。着々と補強した見本例。’94年に指名したグラント・ヒルを軸にしたチーム作りは流れたが、その後のビラップスらを中心にしたプランは見事に実を結んだ。
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ホームはここもお馴染み、パレスオブオーバーンヒルズ。1988年完成で、キャパは22,076人とリーグ最大を誇る。
ついこの間まで好成績もあって驚異的な動員数であったが、世代交代期や不況のせいか、激減中。厳しい数字だが、観戦は今のところ容易。
↓NBAでは珍しい郊外立地の一つ。見てのとおり、駐車場も巨大。
デトロイトマーシー大学タイタンズ
デトロイトと言えばピストンズ。
この町には有力なカレッジチームは存在しないが、一校だけ紹介。
デトロイトマーシー大学(University of Detroit Mercy)タイタンズ。所属カンファレンスはバルポと同じホライズンリーグ。小さい私立校。
ESPNのグル、ディック・ヴァイテルが1970年代にコーチしたチームとして有名。’90年代からは、ジェイレン・ローズを高校時代コーチし、抱き合わせでミシガン大学アシスタントに就任していたペリー・ワトソンがコーチ。強力なプログラムを構築した。現役OBにはウィリー・グリーン。
古くはホールオブフェイマーで”史上最高の50人”の一人デイブ・デビュッシェア。さらにスペンサー・ヘイウッドやジョン・ロング。そしてテリー・タイラー。地元愛が強く、彼らは一度はピストンズでプレイしている。グリーンも戻ってくるか。
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ホームはカリハンホールで9,000人近く収容。1952年完成と古い。1988年に、当時ブラッドレー大学の怪物スコアラーだったハーシー・ホーキンスが、対デトロイトマーシー戦で63得点したアリーナ。ダウンタウンすぐ北のキャンパス内にある。
ミシガン大学ウォルバリーンズ
デトロイトから94号線で西へ30分強。アナーバーという町に、州の二大カレッジのひとつ、ミシガン大学(University of Michigan、ウルバリーンズ)がある。
元々全米有数の、文武両道マンモス名門大学であったが、'90年代初めの、スターター全員を一年生で固めたファブファイブにより、日本での知名度も急上昇した。
そしてその少し前の1989年、グレン・ライスを中心にしたチームはNCAA初優勝を飾っている。
’65、’76年には準優勝。それぞれUCLAとインディアナに敗退。*ファブファイブによる’92、’93年の連続準優勝は、後に発覚したNCAAルール違反により抹消されている。
フットボールがものすごい強豪であるため、追いつこうと学校は結果を求めたフシがある。有望選手をどんどんリクルートしたが、彼らの中には素行の良くない面も目立った。最終的に、1989年優勝チームやファブファイブを率いたコーチ、スティーブ・フィッシャー(現サンディエゴステイト大学)と、その前のコーチ、ビル・フリーダーは追放された格好だ。各々、素晴らしく鍛えられたチームであっただけに残念。もちろん、選手全員の素行が悪かったと言うわけではない。'89優勝メンバーでディフェンスのスペシャリスト、日本リーグの丸紅でも活躍したマイク・グリフィンなどは非常に真面目な選手であった。
OBはファブ5のクリス・ウェバー、ジュワン・ハワード、ジェイレン・ローズにジミー・キングとレイ・ジャクソン。そして'89メンバーはライス、グリフィンのほか、NBAでも活躍したロイ・ボートとテリー・ミルズ。そしてエースガードだったルミール・ロビンソン。NBAではぱっとしなかったが、パワーフォワードの上半身を持ったポイントガードで、運動能力は抜群だった。
現役NBAではスターに成長したジャマル・クロフォードが有名。少し前だとモーリス・テイラーとロバート・”トラクター”・トレイラー。
古くはロケッツの名将としても有名なルディ・トムジャノビッチや、ティム・マコーミックとロイ・タープリーの2人のビッグマン。タープリーは'86年ドラフトで7位指名された有望選手だったが、ドラッグなどに苦しみ、結局プロでは華々しい結果を残せず。
スキャンダルの後、デューク出身のトミー・エイマカー(現ハーバード大学コーチ)などが再建にあたったが、最強のライバルミシガンステイトの大きな飛躍もあって、成績は上がらなかった。現コーチ、ジョン・ビーラインは名将。2013年、スクール20年ぶりのNCAAファイナルまで導き、準優勝。
ホームはデトロイトに近いだけあって、「らしい」名前。クライスラーアリーナ。収容13,609人。10万人入る、隣接のフットボールスタジアムに比べると小規模か。キャンパスの南側にスポーツ施設が集められている。チケット入手は最近の活躍もあって難しい。
イースタンミシガン大学イーグルス
デトロイトから94号線でミシガン大学方面へ向かうとすぐ、イプシランティの町に到着。リトルビッグマン、アール・ボイキンスの母校であるイースタンミシガン大学(Eastern Michigan University、イーグルス)の所在地。
1990年前後に急速に強くなってきたチームで、'91年のNCAAベスト16が最高成績。
'96年トーナメントでは1回戦でデュークをアップセット。2回戦ではレイ・アレンのコネティカットに敗れたが、このチームにいたのがボイキンスであった。
OBは他にデトロイト出身の”アイスマン”ジョージ・ガービン(後にカリフォルニアのロングビーチステイトに転校)やグラント・ロングなど。
ミッドアメリカンカンファレンス(MAC)という渋い中堅校が属するリーグの加盟校。
ホームはコンボケーションセンターで、9,000人近い収容。キャンパス西側に集められたスポーツ施設の一角。
デトロイトエリアの高校バスケットボール
デトロイトのハイスクールも高レベル。
地元への忠誠が強く、ミシガンかミシガンスエイトのどちらかに進む傾向が強い。
まず有名なのがパーシングハイスクール。ミシガンステイトに進んだケビン・ウィリスとスティーブ・スミス、そしてデトロイトマーシーのスペンサー・ヘイウッドが有名。彼らはスターだが、素晴らしい才能に恵まれながら素行の悪い選手も目立つ。
もう1校は最近までデトロイトマーシーのコーチを務めたペリー・ワトソンがコーチしたサウスウェスターン。ワトソンとともにミシガン大学入りしたジェイレン・ローズや、同期でミネソタ大学へいったボジョン・レナード、ボストンカレッジからNBAで活躍したハワード・アイズリー、1990年NCAA優勝のUNLVのメンバー、アンダーソン・ハントらがOB。
あとはクリス・ウェバーとデュークへ進んだシェーン・バティエの母校、私立のカントリーデイ。
モーリス・テイラーや、ともにミシガンステイトに進んだグレッグ・ケルサーとケン・ジョンソンの母校ヘンリーフォードハイスクール。
ほかの学校ではスティーブ・スミスの友人である、シラキュースへ進んだデリック・コールマンや、BJアームストロング(アイオワ大学)、ジョージ・ガービンらがデトロイトの出身。
また州全体で見ると、デトロイト北方のフリントやサギナウからスターがよく出ている。グレン・ライスやモーリス・ピーターソン、ジェイソン・リチャードソンらがミシガン州出身である。
そして、彼らデトロイト出身のスターが必ずプレイしたと言われるのがストリートボール。インドアの聖地が存在。それがセントセシリア。
古くはジョージ・ガービン、そしてファブ5などミシガン大学などへ進んだスターの多くがプレイした、全米トップテンに入ると言われるレベルの施設。夜の訪問は避けるべきエリア。
East Lansing(イーストランシング)
ミシガンステイト大学スパルタンズ
デトロイトから96号線で西へ1時間半。州都ランシングの隣町がイーストランシング。ミシガンステイト大学(Michigan State University,MSU、スパルタンズ)のある田舎町。
毎年オフシーズンにたびたびNBAから高額サラリーで誘われる名将トム・イゾーは、いまや全米で5本の指に入る強力プログラムを構築した。
戦績はピカイチで、1979年のマジック・ジョンソンらが果たしたNCAA優勝以来、20年ぶりのファイナルフォー進出を’99年に決めると、翌2000年に優勝。’01、’05、’09、そして2010年にもファイナルフォーに進むという驚異的な記録を打ち立てた。
最終的にMSUにとどまることを決断したイゾーは、おそらくイーストランシングでコーチ業を全うし、あと1,2回はタイトルを獲得する可能性がある。
イゾーが仕え、マジックらを指導した前コーチ、ジャド・ヒースコートも名将で、MSUのNCAA出場は27回と多い。
マジック以外にもスター選手を多く輩出しており、最近ではジェイソン・リチャードソンやザック・ランドルフ、シャノン・ブラウンにモー・ピー、チャーリー・ベル。さかのぼってショーン・レスパートとエリック・スノウ、スティーブ・スミス。スコット・スカイルスやジェイとサムのビンセント兄弟もMSUの出身。
ホームはブレスリンセンター。最近の好成績もあって、チケット入手は困難。異常な盛り上がりを見せている。15,000人ほど収容。
ミシガン州のNCAAバスケットボール
さて、ミシガン州はほかにもダン・マーリーの母校であるセントラルミシガン大学(マウントプリーザント、イーストランシングから北へさらに1時間半ほど)やクリス・ケイマンの母校、ウェスターンミシガン大学(カラマズー、94号線でデトロイトとシカゴの間にある)といったディビジョン1スクールがあるが、これら以上に有名なディビジョン3加盟校があるので紹介する。
一つはホープカレッジ(Hope College、フライングダッチマン)。ニックネームからもわかるとおり、オランダ系移民の多い町ホランド(Holland、デトロイトから96号線で3時間強、シカゴからは2時間ほど。ミシガン湖に近い。)にある小規模私立校。
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もう一つは同様の小規模私立、カルビンカレッジ(Calvin College、ナイツ)。こちらの所在地はグランドラピッズ。96号線沿いで、デトロイトから2時間半強。ホランドとは3,40分の距離。
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同じカンファレンスに所属する、この2校のライバル関係は全米的に有名で、それぞれのホームゲームの盛り上がりは熱狂的。カルビンのホーム、バンノードアリーナでやっと5千人入る規模だが、幸運にもチケットが手に入れば絶対見るべき。損はない。