AAU(アマチュアアスレティックユニオン)のバスケットボール
日本で知られているアメリカのバスケットボールと言えば、なんといってもNBAでしょう。
次に、近年では渡邊雄太や八村塁が躍動した舞台、NCAAのカレッジバスケットボール。
Bリーグ入りを表明した榎本晋作(アイザイアマーフィー)や、テキサス州のレンジャーカレッジで活躍している富永啓生の存在もあって、知られるようになったのがNJCAA(全米ジュニアカレッジアスレティック協会)。
スラムダンク奨学金により知名度が上がったのは、サウスケントやセントトーマスモアなどのプレップスクール。
さらに、田中力が属している、アメリカの高校(ハイスクール)カテゴリーも、注目度が上がっているのではないでしょうか。
そして。
日本ではほとんど知られていませんが、アメリカの高校バスケットボールと言えば、AAU(アマチュアアスレティックユニオン)の存在抜きに語れません。
AAUは簡単に言うとクラブチームの組織。所属する中学、高校の部活とは関係がありませんので、日本バスケットボールやサッカーにおける”ユース”や、野球の”リトルリーグ”などと、広い意味では同じです。
異なる点は、「部活との両立が可能」であること。
プロであろうがアマであろうが、「シーズン」を徹底的に貫いているアメリカにおいて、バスケットボールはウィンタースポーツ。学校の部活はこの時期(おおよそ、10月から5,6月あたりまで)に行われます。
夏の暑い時期はオフ。この数か月にもわたるオフシーズンの間もプレイできるよう(目的はこれだけではありませんが)、AAUは19世紀から(!)既に存在してきました。
近年はナイキやアディダス、アンダーアーマーといった有力シューズメーカーが全米トップレベルのイベントを主催。多くのNBAスーパースター(ケビンデュラント、ラッセルウェストブルック、クリスポウル、ステファンカリー・・・)も支援。当然、大学コーチがリクルートに訪れることとなり、大盛況となってきました。
となると、ついて回るのはお金の問題です。
AAUバスケットボールのスーパーチーム
重い話はここでは一旦置いといて。。。
*オフシーズンにAAUでプレイするということは、高校の「部活」は上記のとおり冬の間だけということを意味します。つまり、日本で問題になっている”ブラック部活”はなかなか起こりえず、高校のコーチ(ほとんどが日本と同じ先生)が長いオフシーズンに顧問として活動することはほとんどありません。
日本と異なる問題はあるにせよ、やはりスポーツにおいてアメリカが進んでいるのは間違いないと言わざるを得ないと思います。
AAUの大きな魅力は「選択肢の広さ」でもあると言えます。。学区など全く関係がないので、選手がコーチ、チームを選ぶことが可能です。
これは見てる側にも楽しみが増えることを意味し、多くの魅力的なチームが構成されてきました。
中でも、文句なしのナンバーワンチームは1994年のパターソンAAU(ニュージャージー)。
コービーブライアント、ビンスカーター、ティムトーマス、リチャードハミルトン、そしてケビンフリーマンといった面々が同じチームでプレイしたのです。
こうして、スター選手同士が顔見知りとなっていくのですね。
”老舗”Boo Williams(ブーウィリアムズ)
今回、AAUについての投稿のきっかけとなったのは、アレンアイバーソンの45歳の誕生日。
これを、アイバーソンが所属したAAUチームアカウントが祝福のツイートをしていたのが目につきました。
AAUを語る際に絶対に名前が出てくるのが、アイバーソンの故郷バージニア州ハンプトンを本拠地とするブーウィリアムズ。
ノースカロライナをはじめとする強豪カレッジへの重要な選手供給源となっているこのプログラムも強烈です。
卒業生はアイバーソン(ジョージタウン)のほかにJRリード(ノースカロライナ)、アロンゾモーニング(ジョージタウン)、ブライアントスティス(バージニア)、ジョースミス(メリーランド)、JJレディック(デューク)・・・日本がらみでも”エース”カスティス(バージニアテック)とバーノンマクリン(ジョージタウンからフロリダに転校)に富樫選手の高校時代のチームメイト、ジャスティンアンダーソン(バージニア)。
*加えて、先日BリーグのSR渋谷入りがリリースされた、ジェームスマイケルマカドゥもOBです。ノースカロライナ多いですね。
これから、AAUはどうなるでしょうか。
オークヒルに続き、IMGやモントバードといった、”部活とAAUの間”のような組織が発展。スーパーチームはAAU以外でも生まれるようになり、全米一を決めるようなトップレベルのイベントも増加。
日本とは逆行するような形にも見えますが、”部活”の全国イベントに人とお金が集まるようになれば、AAUはやや衰退してしまうかもしれません。