NCAA(大学) コーチング/COACHING

バンダービルト大学バスケットボールとヘッドコーチ・マークバイントン

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> こちらのnoteもぜひ。日本ではあまり話題になりませんが、”バンディ”の「研究」は進んでいます。

   

NILマネーに沸き、乱れるNCAAバスケットボール。

しかしそんな狂乱とは真逆の、”とことんカレッジらしい”プログラムが無敗のまま(投稿時点)走っています。※もちろん転校生は”拾う”し、「放出」という言葉も出てくるんですけどね。

今回はテネシー州の名門私立校、バンダービルト大学とそのヘッドコーチ、マイクバイントンについて。

   

※バイントンはわずか数年前、ジョージアサザン大学ヘッドコーチ時代に、弓波英人(現長崎ヴェルカ、アシスタントコーチ)さんを指導していた人物です。

   

バンダービルト大学のバスケットボール-NCAAカレッジ情報66

知名度は高くない?

   

バンダービルト大学(Vanderbilt University)概要

タイプ私立
ロケーションテネシー州ナッシュビル
"Vandy(バンディ)"の愛称で知られる
ニックネームコモドアーズ(Commodores、提督)*大学創設者の海運王、コーネリアスバンダービルトに因む
チームカラー・スクールカラーブラック、ゴールド
カンファレンスサウスイースタンカンファレンス(SEC)
バスケットボールアリーナメモリアルジムナジウム(14,316人収容)
フットボールスタジアムファーストバンクスタジアム(40,350人収容)
オフィシャルサプライヤーナイキ(投稿時点)
知名度は高くない、が・・・

ホーム、メモリアルスタジアムは”名所”。

ベンチがサイドライン沿いではなく、両バスケットの裏(!)にあるという、珍しいアリーナです。

珍しい!

   

テネシー州随一のプログラム、テネシー大学をはじめ、アラバマやLSUを抱えるSECはフットボールで有名。バスケットボールではケンタッキー。

”バンディ”の、特に日本での知名度はいまひとつ。

21世紀に入ってから野球が非常に強く、2度の全米制覇。佐々木麟太郎選手の進学先候補にもなったことで知られた。

   

バンダービルト大学のバスケットボール

名門ではありますが、ビッグテンにおけるノースウェスタンなどと同様に、学業レベルが非常に高いため、リクルートが難しいとされるプログラム。

NCAAトーナメント出場16回は立派だが、最高成績は半世紀以上前、1965年のエリートエイト。

前任のジェリースタックハウス含め、多くの名将がヘッドコーチに就きましたが、”殻をやぶれていない”プログラムの一つ。

   

バンダービルト大学出身のNBA選手

日本では、シカゴブルズ全盛期に属した7フッター、ウィルパデューが最も有名。

1984年のロサンゼルスオリンピックで優勝した、USA代表の1人、ジェフターナーもOB。

現役なら、ダリウスガーランドやアーロンネスミスあたり。ほか、スコッティピッペンJr.も2019年から3季、スタックハウスの下でプレイ。

   

パデュー、ターナーを筆頭に、白人選手が多いのは他の名門私立同様の特徴で、日本でもプレイした、テッドヤングもその一人。*CMニュートンと小浜元孝による縁です

   

ヘッドコーチ・マークバイントン

この方、マークバイントンに尽きます。

テーブス海選手もプレイした、ノースカロライナ大学ウィルミントン校出身のバイントンは、2013年にジョージアサザン大学でヘッドコーチデビュー(この時わずか37歳)。

6割近い成績を残すと、2020年に地元バージニア州のジェームスマディソンへ移り、2023-2024シーズンに32勝4敗という驚異的な記録。NCAAトーナメント1回戦でハイメジャー・ウィスコンシンを下し、JMUを41年ぶりの全米ベスト32に導きました。

満を持して、バンディでハイメジャーデビューとなった昨季2024-2025シーズンは、いきなりの20勝超えで、8年ぶりのNCAAトーナメント出場へ。

プログラムチャンジャー”です。

   

ジョージアサザンを去る際に残した言葉が象徴するように、名門バンダービルトにはパーフェクトフィットするコーチ。

7年もの間、才能あふれる選手とともにサンベルトカンファレンス有数のバスケットボールプログラムを構築したけれども、「卒業率100%」ということを、より誇りに思う。

マークバイントン

   

なぜ強い?マークバイントンのバンダービルト大学バスケットボール

APランキングで11位まで上がったのは、1993年以来32年ぶりのこと。

5つ星選手もいないチームが、なぜこれほど短期間で劇的な変貌を遂げ、エリート校の仲間入りを果たしたのか。

”バンディ”はなぜ強い?

   

1. 根幹にあるのは「謙虚であれ、さもなくば、謙虚にさせられる」という哲学

バイントンがチームに日々植え付けている哲学は、非常にシンプル。彼が口癖のように選手たちに言い聞かせる、ある一つの言葉がある。あまりにも頻繁に口にするため、練習メニューの紙に書き記す必要すらないほどだ。ちなみに、それとは別に毎日違う名言を練習メニューに記し、選手に暗唱させる習慣もあるが、チームの根幹をなすのは、以下の哲学である。その哲学を象徴するのが、バイイントンHCが繰り返し口にするこの言葉だ。

世の中には2種類の人間しかいない。謙虚な人間か…これから謙虚にさせられる人間かだ

予想外の成功を収め、注目を浴びるチームにとって、このマインドセットは極めて重要だ。バイントンは、彼の大学時代の恩師、ジェリーウェインライトから教わった「Fat cats don’t fight(満ち足りた猫は戦わない)」という言葉を引用し、成功による慢心や自己満足に陥ることを防ぎ、常に挑戦者としての姿勢を保たせている。

2. スター選手ではなく「無私無欲な選手」をリクルートする

バイントンの成功の秘訣は、トップ50の高校生やトップ100の転校生を獲得することではない。彼が意図的に探し求めたのは、「無私無欲」なプレーを実践してきた実績のある選手たちだった

HC就任1年目は、前任者(スタックハウス)から引き継いだ選手が一人もいない、「白紙のロスター」を急いで埋める必要があったため、妥協も強いられた。しかし今シーズンはリクルートにおいて「より精密に」なり、チームのスタイルとカルチャーに真に合う選手だけを厳選したという。その結果、現代カレッジバスケットボールでは稀有なチーム文化が生まれた。

うちの選手たちは、お互いの成功を喜んでいる。多くのチームがその逆と戦っている。」

個人のスタッツやブランド力が優先され、有力選手をかき集める「スーパーチーム」化が進む現代において、チームの勝利のために個人の栄光を後回しにできる選手だけを集めるというアプローチは、”流れ”に反しているように見えるかもしれない。しかし、これこそがバンダービルトの強さの源泉。

3. オフェンスの秘訣は「巨大な輪ゴムで繋がっている」かのような連携

バンダービルトの強みは、圧倒的な身体能力やサイズではなく、試合を「思考する」インテリジェンスにある。そのオフェンスは、かつてNBAに革命を起こした「セブン・セカンズ・オア・レス(7秒以下の攻撃)」のフェニックスサンズから着想を得ており、そのテンポは全米でもトップ50に入る速さを誇る。

チームの無私無欲さは、スタッツにも明確に表れている。1試合平均19.6アシストは全米16位。さらに、1試合平均4.5アシスト以上の選手が3人もいる唯一のハイメジャー。その動きは、まるで「巨大な輪ゴムで繋がっている」かのようだと評され、流動的なパスワークがアイソレーションやヒーローボールから生じるターンオーバーを激減させている。

選手の一人、タイラータナー:「コーチは僕らがミスをしてもプレーを続けさせてくれる、たくさんね。ただし、気持ちが正しい場所にある限りは」。自己中心的なミスでなければ、チームは挑戦を恐れない。

4. チームを牽引するのは「星ゼロ」の無名選手たち

このチーム哲学を最も体現しているのが、バックコート(ガードコンビ)のタイラータナーとデュークマイルズ

地元テネシー州出身であるタナーは、大手リクルートサイトにプロフィールすらなかった「星ゼロ」の無名選手。しかし、彼のプレーの質は驚異的だ。昨シーズン、彼は大学キャリア最初の15ゲームで、平均20分以上出場しながらターンオーバーを一度も犯さなかった(!)。今や将来のNBAドラフト上位指名候補選手たちに匹敵する数字を叩き出し、アメリカで最も「効率的な」選手の一人へと成長した。

一方のマイルズは、複数の大学を渡り歩く「遠回りな道のり」を経てナッシュビルにたどり着いた。前所属のオクラホマ大学では、後のNBAドラフト上位指名選手(2025年、7位)ジェレマイアフィアーズの隣でプレーしていたため、役割は限定的な「3&D」要員に過ぎなかった。しかし、バイントンのスタッフは彼のデータ分析から、その役割に隠された未開のポテンシャルを見抜いていた。そして今、マイルズはチームのリーディングスコアラーとなり、ケンポンの年間最優秀選手ランキングで9位にランクインしている。

この二人の無名選手が、今やSEC最強のバックコートとの呼び声も高いコンビを形成している。これこそ、バンダービルトのチームビルディングが正しかったことの何よりの証明だ。

バンダービルトの成功は、決して偶然ではない。それは「謙虚さ」「無私無欲」、そして見過ごされてきた才能を信じるという、一貫したカルチャーの産物だ。しかし、バイントンは過去の成功に満足することなく、常に未来を見据えている。

私はいつも彼らに『我々は強くなる』と言っているが、『我々は強い』とは一度も言ったことがない。

   

<後記>

とはいえ、昨季ファイナルフォーに2校(優勝したフロリダと、オーバーン)を送り込んだ、SECで勝ち続けれるのは簡単ではありません。

投稿時点で12戦全勝バンディは、1月からカンファレンスゲーム。

まずは、ホームにアラバマを迎えるゲームがヤマとなるでしょう。

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