またまた「時代が進んだ」コミット/リクルートです!
スラムダンク奨学生の木村圭吾選手
まずはこのツイートでしょう!
「ダンコたる決意」がヒシヒシと伝わってきます!
フロリダ州のジュニアカレッジからルイジアナ大学(ラファイエット)に進んだドゥドゥと同じ、八王子学園八王子高校出身。
ツイートにもあるとおり、スラムダンク奨学金により進学した名門プレップ、セントトーマスモアで、チーム唯一の全ゲーム出場(!)。
”ディビジョン1”の決意は強いものの、諸事情により選んだ進学先は、ディビジョン3の新興校、コネティカット州ウェストハードフォードのセントジョセフ。
しかしこれは、素晴らしい決断ではないかと思います。
NCAAディビジョン3、セントジョセフ大学
セントジョセフと言えば、ジャミアネルソン、そして前回投稿で書いた、老舗AAUを立ち上げたブーウィリアムズらを輩出したフィラデルフィアBIG5の一角(他4校はビラノバ、テンプル、ペンシルバニアとラサール)、"SJU"が最も有名。
では木村選手が進む、コネティカット州ウェストハートフォードのセントジョセフ"USJ"とは・・・
セントジョセフ大学(University of St. Joseph)概要
私立校
ロケーション:コネティカット州ウェストハートフォード
ニックネーム:ブルージェイズ
チームカラー・スクールカラー:ブルー、ゴールド
カンファレンス:グレートノースイーストアスレティックカンファレンス(GNAC)
*同カンファレンス、もう一つのセントジョセフ(カレッジ、メイン州)に、やはりスラムダンク奨学生である、酒井達晶選手(北陸学院高校出身)!
ホームコート:オコーネルセンター(500人収容)
フットボールプログラム:なし
セントジョセフ大学(USJ)のバスケットボール
「ディビジョン3?」「収容人員500人?5000人じゃなくて?」
「何がすごいの??」
となるかもしれません。
ジムカルフーンとHaruya Ito
再度書きます。
NCAAカレッジバスケットボールはコーチが全て、です。
殿堂入りしているコーチ(ホールオブフェイマー)です。
コネティカット大学を率いて3度のNCAAチャンピオン(1999、2004、2011)。
通算、915勝395敗(勝率698)。勝利数は、現役コーチならあのコーチK(デューク)、ジムベーハイム(シラキュース)に次ぐ3位。オールタイムでも10位。
ディビジョン1だけに絞っても、通算877勝は歴代6位。上にはK、ベーハイム、ボブナイト、ロイウィリアムズとディーンスミスしかいません。エイドルフラップを上回るのです。
コネティカットで育てた主な選手と言えば、
選手 | 在籍 | Note |
レイアレン | 1993-1996 | UConn唯一の永久欠番 |
ヒルトンアームストロング | 2002-2006 | Bリーグでプレイ |
スコットバーレル | 1989-1993 | 日本リーグでプレイ |
カロンバトラー | 2000-2002 | |
アンドレドラモンド | 2011-2012 | セントトーマスモア出身 |
カリッドエルアミン | 1997-2000 | 初優勝メンバー |
ルディゲイ | 2004-2006 | |
ベンゴードン | 2001-2004 | |
リチャードハミルトン | 1996-1999 | 初優勝メンバー |
トラビスナイト | 1992-1996 | |
ジェレミーラム | 2010-2012 | |
ドニエルマーシャル | 1991-1994 | |
シャバズネイピア | 2010-2014 | |
エメカオカフォー | 2001-2004 | |
ケビンオリー | 1991-1995 | |
クリフロビンソン | 1985-1989 | |
ハシームサビート | 2006-2009 | Bリーグでプレイ |
チャーリービラヌエバ | 2003-2005 | |
ジェイクボスコル | 1996-2000 | 初優勝メンバー |
ケンバウォーカー | 2008-2011 | |
ギャビンエドワーズ | 2006-2010 | Bリーグでプレイ |
UConnに来る前にコーチした、ボストンのノースイースタン大学時代の教え子、故レジールイスも忘れられません。
そして何より、セントジョセフに着任してわずか2年での成績が、42勝15敗。1年目が16勝12敗、2年目は26勝3敗。2季目の2019-2020シーズンに至っては、カンファレンスゲームを11勝0敗の完全優勝で、NCAAトーナメント(D3)出場。
わずか3年前、バスケットボールチームを持っていなかった学校をリーグ優勝に導いた!
私も簡単に名将、名将と騒いでいるかもしれませんが、カルフーンはあまりにも特別なコーチです。
「彼に指導を受けられるのなら、ディビジョン3でもかまわない。」
そういう選手がごろごろいます。
なぜ、カルフーンほどの人物がD3でコーチをするのでしょうか。
カルフーンの右腕、アソシエイトヘッドコーチのグレンミラーさんらも”重要人物”ですが、とてもここでは書ききれません。
よって、”重要人物”を1人だけ。
今回の木村選手のリクルーティングに大きく関わった日本人。
上の、USJバスケットボールオフィシャルサイトには"Student Managers"と示されている、Haruya Ito(伊藤治矢)さん。*実際にはコーチのような働き方をされています。
冒頭で「時代が進んだ」と書いたのは、NCAAにおいて、”日本人コーチによる、日本人選手のリクルート”が行われたからです。*女子D1では、森田コーチと池松選手のロバートモリス大学の存在があります。
伊藤コーチと言えば、NBA Gリーグ、テキサスレジェンズの伊藤拓摩コーチの名もあがりますが、USJの伊藤コーチもまた、名を成すのは時間の問題でしょう。
ツイッターを覗いていても、X's O'sなどの戦術における知見は群を抜きますし、何よりもカルフーンの弟子になろうと「潜り込んだ」、そのバイタリティ!!世間的な「成功」というものが何を指すのか私にはよくわかりませんが、USJの伊藤コーチは既に成功者と言えます。
伊藤コーチによると、木村選手とともにリリースされた、クリスカミール(6-6)もD1タレントとのこと。
ジムカルフーンの下、伊藤コーチと木村選手の日本人コンビによる活躍。セントジョセフ大学(USJ)バスケットボールプログラム、創設わずか3季目にしての、2021年NCAAディビジョン3タイトル獲得という快挙は現実的です。そのうえでの、木村選手のD1スクールへの転校も十分ありうるでしょう。
楽しみです!
2002年優勝のオッターバイン(オハイオ州)は、Bリーグ・宇都宮ブレックスのジェフギブス選手の母校。ギブスはこの優勝チームのエースでした。彼の現在のプレイを見ても、ディビジョン3(特にトップレベル)が馬鹿にできないカテゴリーであることがわかります。
1996年チャンピオンのローワン(ニュージャージー州)は、B2・アースフレンズ東京Zヘッドコーチ、東頭俊典さんの母校。
1991年、1995年、1998年に1999年と、4度ウィスコンシン大学プラットビルをチャンピオンに導いているボーライアンは、後のウィスコンシン大学(マディソン本校)ヘッドコーチ。名将。
そして、よく目にするCalvin(カルバン)とHope(ホープ)。ミシガン州にある両校のライバルリーはディビジョンを超越した存在。興味のある方はぜひ→ザ・ライバルリー
ディビジョン3のバスケットボールこそが、本物のNCAAカレッジバスケットボールと言えるのかもしれません。*D3のアスレティック奨学金について