*多くのアクセス、ありがとうございます。アメリカの高校バスケットボールについてのご質問をいただくことが増えておりますので、2020-2021シーズンも追いかけていくつもりです。
毎回NCAAランキングのことばかり書いているので、今回はアメリカの高校ランキング。
*プレップスクールも同じカテゴリーとされます。
アメリカの高校カテゴリーは、日本のインターハイやウィンターカップ、NCAAのような全国大会は存在しません。例えば渡邊雄太選手が香川県の尽誠学園を卒業後に入ることができたセントトーマスモアなど、プレップスクールも含めるとその数の多さはもちろん、学校ごとの規模もあまりに差ができてしまうからです。一応、ナンバーワンの学校を決めようとする動きはでてきており、強豪校を集めたイベントが行われておりますが。→4月にニューヨークで開催
よって、通常はNCAAと同様に各メディアから出されるランキングに注目が集まります。
中でもUSA TODAYスーパー25ランキング
こちらの最新ランキングにそって、強豪校を簡単に紹介します。*ここにランクされるような学校は、ウィンターカップやインカレはもちろん、全日本、Bリーグ上位チームでも勝つのは難しいでしょう。ディビジョン1下位校よりも間違いなく上のチームですし、いわゆるone&done、大学かアメリカ国外プロで一年のみ過ごしてNBAに入ろうという選手がごろごろしています。*チーム、選手ともいくらでも検索すれば出てきますので動画は貼らないでおきます。
1位 La Lumiere ラルミエール(私立、インディアナ州)
突如としてバスケットボールに力を入れ始めた、高校バスケットボールの聖地インディアナの私立校。*インディアナ州ですがシカゴの東方に位置し、ノートルダム大学やヴァルパライゾ大学に近い。以前紹介したラスベガスのフィンドレーをもやぶってここまで16勝無敗。選手を”集めて”います。注目はBrian Bowen(ブライアン・ボウエン、6-7、SF、進路未定)、Jaren Jackson(ジャレン・ジャクソン、6-11、PF、2017年ミシガンステイト大学進学予定)、Jordan Poole(ジョーダン・プール、6-5、SG、2017年ミシガン大学進学予定)のほか、2019年組Tyger Campbell(タイガー・キャンベル、5-11、PG、進路未定)。
2位 Montverde Academy モントバードアカデミー(私立、フロリダ州)
ご存知ベン・シモンズを輩出した、オーランド西郊外にある学校。カイリー・アービングなどを育てた名将ケビン・ボイルをニュージャージー州の学校から呼び寄せて、あっという間に強豪プレップに仕立て上げた。フロリダステイトに進んだ、BリーグB2のFE名古屋ソロモン・アラビなどの母校。ここまで13勝1敗。超がつくスーパースターは上級生に不在の中、この成績はやはりボイルの手腕と認めざるをえません。Sean Mobley(ショーン・モブリー、6-9、PF、2017年VCU進学予定)、Marcus Carr(マーカス・カー、6-1、PG、2017年ピッツバーグ大学進学予定)のほか、Rechon Black(リーコン・ブラック、6-7、SF、2018年ノースカロライナ大学進学予定)、R.J. Barrett(RJ・バーレット、6-7、SF、進路未定)などが有望選手。中でもバーレットは2019年大学進学予定者の中でベストの評価。*最下部ESPNのリンク参照
3位 Memphis East メンフィスイースト(公立、テネシー州)
モントバードに屈辱的な黒星をつけたメンフィスの公立校。昨季はいまだに世界中にファンが多い元NBA選手、ペニー・ハーダウェイが指揮し、息子ジェイデンも今季から転校してくるだろうとされていましたが、ペニー自ら高校バスケットボールのイベントを立ち上げるなど、現在はチームから離れているようです。11勝2敗。2018年組のT.J. Moss(TJ・モス、6-4、SG、進路未定)、Alex Lomax(アレックス・ロマックス、5-11、PG、進路未定)、2019年組のChandler Lawson(チャンドラー・ローソン、6-7、PF、進路未定)ら、下級生が目立つ。
twitterでご指摘いただきました。ペニー親子は今季もコーチングスタッフとしてチームに合流しているようです。失礼いたしました。
https://twitter.com/FloHoops/status/816670214771343360
4位 Findlay Prep フィンドリープレップ(私立、ネバダ州)
フィンドリーも相変わらず強く、この位置。NBA、NCAAで活躍する有名OBは数えきれません。現在は1位ラルミエールに喫した1敗のみ。注目はPJ Washington(PJ・ワシントン、6-8、PF、2017年ケンタッキー大学進学予定)、Oshae Brissett(オスカー・ブリッセット、6-6、SF、2017年シラキュース大学進学予定)、Tristan Clark(トリスタン・クラーク、6-8、PF、2017年ベイラー大学進学予定)など。好選手多数。
5位 Chino Hills チノヒルズ(公立、カリフォルニア州)
16勝0敗。ボール兄弟の活躍により、すっかり有名になってしまったロサンゼルス東方にある公立校。長男ロンゾのUCLAでの活躍は周知のとおり。三兄弟は全員UCLA進学が決まっており、LiAngelo Ball(リアンジェロ・ボール、6-6、SF、2017年UCLA進学予定)、LaMelo Ball(ラメロ・ボール、6-2、PG、2019年UCLA進学予定)が続きます。ほか、従妹のAndre Ball(アンドレ・ボール、6-5、SF、進路未定)、2019年組のOnyeka Okongwu(オニェカ・オコング、6-9、C、進路未定)も有望。
6位 IMG Academy IMGアカデミー(私立、フロリダ州)
テニスの錦織選手らの影響もあって、日本での知名度も高いフロリダ州の”元祖スポーツ系アカデミー”。こちらはタンパの南方、ブレイデントンに所在。同じフロリダ州内モントバードとしのぎを削ります・バスケットボールにおける著名OBも数多く、近くのフロリダステイトに進んだ現在大学一年生のジョナサン・アイザックは2017年NBAドラフト一巡目指名候補で、B2福島の猪狩選手のチームメイトであったことが有名。モントバードに1敗し、ここまで16勝1敗。注目は今季から転校してきて話題を呼んだ、全米ナンバーワンPGと評価されるTrevon Duval(トレヴォン・デュバル、6-3、進路未定)と一学年下のSilvio De Sousa(シルビオ・デ・ソーサ、6-8、PF、進路未定)、Emmitt Williams(エミット・ウィリアムス、6-7、PF、進路未定)も注目。
7位 Oak Hill Academy オークヒルアカデミー(私立、バージニア州)
こちらも説明不要の老舗の超強豪プレップスクール。すでに2敗を喫しており、ここまで16勝2敗(負けはシェラキャニオンとフィンドレー)。信じられませんが、近年の動向を表していると言えます。注目はBilly Preston(ビリー・プレストン、6-10、PF、2017年カンザス大学進学予定)とMatt Coleman(マット・コールマン、6-1、PG、進学先を間もなく表明予定)の二人。ほかにもディビジョン1に進む選手でかためている、相変わらずの学校。一学年下のDavid McCormack(デビッド・マコーマック、6-10、C、進路未定)も注目。
8位 Nathan Hale High School ネイサンヘール(公立、ワシントン州)
11勝0敗。ワシントン大学からNBAに進んだスーパースター、ブランドン・ロイがコーチに就いた話題の学校。そのワシントン大学の北側に位置します。ここはMichael Porter Jr.(マイケル・ポーター、6-10、SF、2017年ワシントン大学進学予定)につきます。ポータージュニアはもともとミズーリ州の出身でしたが、ワシントン大学にリクルートされるとともに今季から移動。実は家族抱きかかえのリクルートで、一学年下の弟Jontay Porter(ジョンテイ・ポーター、6-10、C、2018年ワシントン大学進学予定)に加え、父親もワシントン大学のコーチングスタッフとなりました。そしてUW出身のロイが高校コーチですから、よくある話とはいえ、リクルーティングの世界もなんともはや・・・。ポーター一家以外でもP.J. Fuller(PJ・フラー、6-3、SG、進路未定)という下級生もおり、ネイト・ロビンソンらを輩出したレイニアビーチ、ロイの母校ガーフィールドといったシアトルの古豪を一蹴してしまっています→いいのでしょうか(笑)。ポーターJrは特に注目の選手。
9位 Simeon High School シメオン(公立、イリノイ州)
12勝0敗。シカゴの有名校(正式にはシメオンキャリアアカデミー)。古くはニック・アンダーソン、最近はデリック・ローズ、ジャバリ・パーカーというスターを生んできました。今季、超スーパースターは不在ながら激戦区シカゴの頂点を争い、この順位はさすがです。
10位 Sierra Canyon シェラキャニオン(私立、カリフォルニア州)
こちらも突如として頭角を現したロサンゼルス北郊外の私立校。ここまで7勝1敗。Marvin Bagley, III(マービン・バグリー3世、6-11、PF、進路未定)という怪物がおり、Cody Riley(コディー・ライリー、6-8、PF、2017年UCLA進学予定)、Remy Martin(レミー・マーティン、6-0、PG、2017年アリゾナステイト大学進学予定)らが中心で、有望選手多い。ネイサンヘールに惜敗しましたが、オークヒルには勝っています。
11位 Hamilton Heights Christian Academy ハミルトンハイツクリスチャナカデミー(私立、テネシー州)
ナッシュビルとアトランタの中間にあるチャタヌーガにある学校。15勝4敗。1位ラルミエール戦含め4敗していますが、州内対決メンフィスイーストには勝ってこの評価。注目はカナダから呼んだ二人、Nickeil Alexander-Walker(ニッキール・アレクサンダー=ウォーカー、6-5、SG、2017年バージニアテック進学予定)とShai Gilgeous-Alexander(シャイ・ギルジェス=アレクサンダー、6-5、PG、2017年ケンタッキー大学進学予定)。
12位 Mater Dei High School メイターデイ(私立、カリフォルニア州)
こちらもおなじみ、ロサンゼルス南方オレンジカウンティの強豪校。スターOBは数えきれません。ここまでチノヒルズに敗れたのみの17勝1敗。ここも今季はスター不在ですがさすがの高ランク。
13位 DeMatha Catholic HS デマッサカトリック(私立、メリーランド州)
マーケル・フルツをワシントン大学に送り出した、超名門私立校。伝説のコーチ、モーガン・ウトッゥン引退後も見事に強さを維持しています。今季はフルツのような5つ星選手はいませんが、OBでジョージワシントン大学出身のマイク・ブレイがコーチを務めるカトリック、ノートルダム大学に2017年進学予定のD.J. Harvey Jr.(DJ・ハーベイ、6-6、SF)はデマッサらしい好選手。今季はここまで11勝1敗。
14位 The Patrick School ザパトリックスクール(私立、ニュージャージー州)
モントバードのケビン・ボイルの前任校で、カイリー・アービングやマイケル・キッド=ギルクリストらの母校。目玉選手は2017年にケンタッキー大学に進むビッグマン、Nick Richards(ニック・リチャーズ、6-11、C)。ほか、ミネソタ大学に進むJamir Harris(ジャミア・ハリス、6-1、SG)。メンフィスイーストとIMGアカデミーに敗れ、ここまで6勝2敗。
15位 Shadow Mountain HS シャドウマウンテン(公立、アリゾナ州)
アリゾナ大学からNBAに進んだマイク・ビビーや、MLBの好投手カート・シリングを輩出したフェニックスの公立校。ここまで無敗の16勝でランク入り。スターはいませんが、現コーチはビビー。さすがの手腕です。Marcus Shaver(マーカス・シェイバー、6-2、PG、2017年UCサンタバーバラ進学予定)などガードによい選手が多いのはビビーの影響でしょう。なお昨季まで在籍したビビーの息子はサウスフロリダ大学へ進みました。2019年組のJaelen House(ジェイレン・ハウス、5-11、PG、進学先未定)はスター候補。元NBAプレイヤーでアリゾナステイト出身のエディ・ハウスの息子。
16位 Wasatch Academy ワサッチアカデミー(私立、ユタ州)
高校有望選手がなかなか輩出されない土地とされてきたユタ州の田舎の学校までがバスケットボールを強くし始めました。ここまで15勝2敗。うち1敗はフィンドレーによるものです。Josep Vrankic(ジョセプ・ブランキッチ、6-9、SF、2017年サンタクララ大学進学予定)、Shamiel Stevenson(シャミール・スティーブンソン、6-7、SF、進路未定)というカナダ人選手2人などが中心。
17位 Bishop Montgomery ビショップモントゴメリー(私立、カリフォルニア州)
日本人にはお馴染み、ロサンゼルス南方のトーランスに位置する私立校。エース、Ethan Thompson(イーサン・トンプソン、6-5、SG、2017年オレゴンステイト大学進学予定)は日本(当時の三井生命)でもプレイしたスティーブン・トンプソン(シラキュース大学でデリック・コールマンと同期)の息子。兄もすでにオレゴンステイトでプレイしており、ポーター一家のワシントン大学リクルートと似た状況です。Jordan Schakel(ジョーダン・シャケール、6-5、SF、2017年サンディエゴステイト進学予定)も注目の選手。
18位 Gonzaga College HS ゴンザガカレッジ(私立、ワシントンDC)
名前のとおりカトリック系。ワシントンDCにある有名校で、現在のジョージタウン大学ヘッドコーチのジョン・トンプソン3世、2016年NCAAトーナメント決勝で劇的なブザービーターを沈めたクリス・ジェンキンスらを輩出。Chris Lykes(クリス・ライクス、5-7、PG、2017年マイアミ・フロリダ大学進学予定)は注目のリトルビッグマン。一学年下のPrentiss Hubb(プレンティス・ハブ、6-3、SG、進路未定)とともに、バックコートが強い。ここまでシカゴのシメオンとシェラキャニオンに敗れています。
19位 Sunrise Christian Academy サンライズクリスチャンアカデミー(私立、カンザス州)
NBAペリカンズのバディ・ヒールドらを輩出したカンザス州ウィチタにある私立校。Isiah Jasey(アイザイア・ジェイジー、6-9、C、2017年テキサスA&M大学進学予定)、Bryan Trimble Jr.(ブライアン・トリンブル、6-3、SG、2017年フロリダステイト大学進学予定)らが中心。
20位 Klein Forest High School クレインフォレスト(公立、テキサス州)
ヒューストンの公立で、ここまで21勝0敗。Cedric Alley(セドリック・アレー、6-6、PF、進路未定)らが中心。全米レベルの強豪校との対戦なく、この順位。
21位 Newton High School ニュートン(公立、ジョージア州)
アトランタ南西の町コビントンにある公立校。2019年組Ashton Hagans(アシュトン・ハガンス、6-3、PG、進路未定)らが中心。こちらも無敗ですが、クレインフォレスト同様にローカル校との対戦ばかりのためこの評価。
22位 Archbishop Moeller アーチビショップモラー(私立、オハイオ州)
所在はシンシナティ。ここも11勝0敗の無敗チームですが、強豪校との対戦がありません。2018年組Jaxson Hayes(ジャクソン・ヘイズ、6-8、SF、進路未定)はフットボールのスターでもある怪物。
23位 Jonesboro Senior HS ジョーンズボロシニア(公立、アーカンソー州)
M.J. Walker(MJ・ウォーカー、6-5、SG、進路未定)が全米トップレベルと評価される注目の選手。ほかにDesi Sills(デジ・サイルズ、6-1、SG、2018年アーカンソー大学進学予定)。ここまで14勝0敗。ジョーンズボロはテネシー州メンフィスから北西に進んだ町。
24位 Tulsa Union High School タルサユニオン(公立、オクラホマ州)
Ethan Chargois(イーサン・カルゴイス、6-9、C、2017年SMU進学予定)らが中心。
25位 North Central High School ノースセントラル(公立、インディアナ州)
インディアナ大学からNBAに進んだエリック・ゴードンの母校。Kris Wilkes(クリス・ウィルクス、6-7、SF、2017年UCLA進学予定)は有望選手。11勝0敗。レベルの高いインディアナポリスとはいえ、全米級の学校とはゲームがありません。
以上が”一応”最新のアメリカ、高校・プレップスクールランキングです。
が、繰り返しますが、あまりに数が多いためになかなかあてになるものではありません。
例えばシェーファーアヴィ幸樹選手が所属するブリュースターアカデミー。続々と選手のディビジョン1校への進学が決まっていますが、この学校がランク外であり、MAXPREPSという有力サイトでは何と1211位などに位置付けられています。(セントトーマスモアに至っては11499位!ありえない。。。)
上のUSA TODAYランクでも、20番目以降あたりは1週間でころころランキングが入れ替わります。また以前少し書いた、ゲイリー・トレントJrらが所属する北カリフォルニアのプロリフィックや、2017年ベストと評されるディアンドレ・エイトンが所属するアリゾナ州のヒルクレストアカデミーなど、学校そのものがランキング対象に認められていない場合もあり、全米一を決めるような大会実施は今後も難しいだろうと言わざるを得ません。
やはりアメリカは、高校レベルではチームよりも個を優先しているように感じます。
そんな中更新し続けられるランキング。有望選手を転校させてでも集めてくる私立校がどうしても目立ちますが、公立校もそれなりに入っているのが個人的には嬉しい気がします。
最後に「個」。ESPNによる、学年別選手ランキングです。もちろんこれもあてになりません(笑)。とにかく、奥が深い!層が厚い!
<追記>
2016-2017最終ランキング