ちょっと思うところがあって、今季2020-2021はBリーグをあまり見てきませんでした。
が、プレイオフに地元クラブが出場。それも再度のB1昇格がかかるゲームが行われるとなれば、観戦せずにはいられません。
仙台89ERSがブザービーターでゲーム1劇的勝利!
”bjリーグオリジナル6(創設時の6クラブ)”である老舗・仙台89ERSが、劇的なブザービーター。
ゲーム1を制した仙台が、勢いそのままに、2連勝でセミファイナルシリーズ進出を決めました。
レギュラーシーズンは西宮が40勝18敗。仙台が35勝24敗。
西地区1位の西宮と、東地区4位でワイルドカードでのプレイオフ出場となった仙台。
が、今季は3月に2ゲームしか対戦のなかった両クラブによるシリーズが、簡単に勝敗のつくものではないことは明白でした。
ゲーム1。
スタートでつまづいた西宮(1Q:9-18)が追う展開。
最終4Qになんとか追いつき、フリースローで逆転に成功したのは残り3秒。
75-74。
Last-Second Full Court Inbound Play.
タイムアウト無し。
仙台のスローイン。
仙台89ERSが選択したセットプレイは、"Valparaiso(バルパライゾ)"。
1998年のNCAAトーナメント1回戦で、#13シード・バルパライゾ大学(インディアナ州の中堅校。通称”バルポ”)が、#4シード・Ole Miss(SEC校・ミシシッピ大学)をアップセットした際の、End of gameプレイ。
これが見事に決まり、ゲームオーバー。
最終スコアは77-75でした。
”リベンジ”は23年後、弟子により、日本で、果たされた。
言うまでもなく。
NCAAディビジョン1のハイメジャーカンファレンス、SECは強豪ぞろい。
(最終的に1998王者となる)ケンタッキー大学などの影に隠れるOle Missは、ようやく3度目のトーナメント出場でしたが、SECを12勝4敗という好成績で終えたミシシッピには、史上初のエリートエイト、そしてファイナルフォー進出の期待がかかっていました。
その望みを、ブザービーターで打ち砕かれたわけです。
Ole Missを率いた黒人コーチ・ロブエバンスは、失意のまま、同1998年オフに、パック10(現在は12)カンファレンスのアリゾナステイト(ASU)に異動。
このASUに留学中だった日本人学生こそが、現在の仙台89ERSのヘッドコーチ、桶谷大でした。
コーチ志望であった桶谷は、アリゾナステイト大学でエバンスに師事。
おそらく"Valpo"によるエンディングは見ていたはずですし、少なくとも、エバンスから話は聞いていたでしょう。
師匠・ロブエバンスのリベンジは、その弟子・桶谷大によって。
23年後の2021年。
Bリーグプレイオフの場で果たされたようなものです。
色々な意味で、ドラマティックな結末でした。
タイムアウトなしで、この”バルパライゾ”を遂行した仙台89ERSは見事。
間違いなく、ふだんの練習においてスクリメージを行っていたのでしょう。
そして、オプションは他にもあったのだと想像できます。
ブザービーター-バスケットボールの面白さ
仙台89ERSの遂行力に反し、(タイムアウトがない同じ条件下の)西宮ストークスのディフェンスはpoorであったと言わざるを得ません。
1998年以来、"Valpo"は世界中で有名になったセットですから(事実、再現された例は多い)、これを想定できたはずですし、何より、ベースラインのスローインに対し、ビッグマンはおろか、誰もプレッシャーをかけない、あまりにもお粗末な対応でした。*キツイですが、こう言わざるを得ません。
ここで、「下がって守る」のは幼稚。
「”タッチダウンパス”を自由に投げさせることが厳禁」であることは、常識です(怒)。
まだまだ発展途上(?)、日本のバスケットボール
1998"バルポ”においてさえ、Ole Missはスローインにディフェンスを置いていました。
そして、渡邊雄太のジョージワシントン2016-2017シーズン、悪夢の一戦。→こちら
この大逆転劇は、「ベースラインのスローインには必ずプレッシャーをかけてくる」という”常識”の裏をかいたことで生まれたものです。
決して個々の選手の能力だけではない、大きな差がいまだに日米バスケットボール間に存在します。
先日のB2プレイオフ。
もう1つのゲーム、越谷@FE名古屋も同様の接戦が繰り広げられました。
同じく残り3秒。
が、ここにおいて、実況の方が「放り込むしかない」という言葉を発します。
違うのです。
3秒「も」あれば、(たとえバックコートベースラインからのスローインであっても)いくらでもオプションがあるのです。→ちょっとした例
そして、それを高いレベルで遂行させる(ディフェンスは遂行させない)のがプロバスケットボールというものです。
ブザーが鳴るまでは何でも起こりうる。いえ、”起こすことができる”。
これこそが、バスケットボールの大きな(もしかすると、最大の)魅力なのです。
このことを、選手もコーチも、そして伝える側も見る側も。
絶対に忘れたくないですね。
西宮ストークスのこれから・・・
批判的な内容に、気分を害されたら申し訳ないです。
地元クラブの敗退はショックです(涙)が、、、
シーズン40勝!
B1再昇格を逃した失望よりも、B2西地区1位を奪取した誇りの方を大きく持ちたいです。
来年こそは!!!
Go,グリーン!
Go,ストークス!
応援は続けると思いますが、、、チームカラーは兵庫ストークス時代の、MLBマリナーズ/NFLシーホークスのブルーを配した「シアトルカラー」に戻るかもしれませんね。
*神戸とシアトル、兵庫県とワシントン州は友好関係(西宮はスポケーンと!)にあり、イチローのマリナーズ入りも”必然”とされていました。
”ストークスグリーン”は美しいのでちょっと残念。。。
阪神電車なんて、(虎と一緒に)市内限定車両まで作ったんすよ!(←大ウソです)
<後記>
このゲームでタッチダウンパスを投げたスコットバーレル(コネティカット)、そして、このバスケットボール史上に残る名勝負の後、抱き合って健闘を称えあうアントニオラング(デューク)とジメルマルティネス、さらにデロンフェルドハウス(ともにケンタッキー)。
彼らがプレイしたこの日本で、バスケットボールは今後ますます成熟していくのだろうと思います。
少々長いですが、ぜひ”Last Second Full Court Inbound Play basketball”という言葉でググってみて下さい。
さらに、バスケットボールというスポーツと接することが楽しくなるはずです。