州面積が38番目の大きさと、広くはないが紹介すべき町が多い。アメリカで一、二を争うバスケットボール狂地帯。ここも冬の運転は注意が必要。
Indianapolis(インディアナポリス)
日本からの直行便は無し。
シカゴから65号線南下で3時間。デトロイト、クリーブランドはそれぞれ5,6時間かかる。ミズーリ州セントルイスが70号線を西へ4時間強。ケンタッキー州ルイビルへ、65号線さらに南下で2時間、オハイオ州シンシナティへ74号線東へ2時間と、フリーウェイが放射状にのびており、大都市へのアクセスは悪くない。
インディアナ・ペイサーズ
NBA参加は1976年。ABAから移動した球団の一つ。
勝てないシーズンが長く続いたが、1987年、スターをドラフトで得る。レジー・ミラーである。カリフォルニア育ちでUCLA出身の6-7シューターが、何の縁もなかったインディアナで大成功した。ミラーの活躍により、ペイサーズが1990年から2006年までの17シーズン中プレイオフを逃したのはたった1度。'94年、'95年はカンファレンスファイナルまで進みながら、それぞれニックス、マジックの前に敗退。特にニックスとのシリーズは語り継がれる熱いものになった。
チームはラリー・ブラウン、ラリー・バードとリック・カーライルなどの名将が引き継ぎ、プレイヤーではマーク・ジャクソン、デイルとアントニオの両デイビスやデリック・マッケイ、リック・スミッツらがミラーをサポートした。
2000年にはニックスを倒してファイナルへ進出。シャックが健在だったロサンゼルス・レイカーズに2勝4敗で屈した。
2005年のミラー引退後は苦戦。ジャーメイン・オニールやロン・アーテストなどが一時輝くもプレイオフは逃しており、現在は一気にスターとなったポール・ジョージ、ロイ・ヒバートらがチームを支えている状態。優勝への道は近づきつつあるか。
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1999年から使用しているコンセコフィールドハウスは18,345人収容。観戦難易度は78.2%でリーグ25位と寂しい。アウェイでは87.9%(同19位)と上がる。
ロケーションはダウンタウン。駐車場は周辺に点在するが、やや不便。
南西にルーカスオイルスタジアム、東に進むとNCAAホールオブチャンピオンズがある。NCAA本部も近く、インディアナポリスはファイナルフォーのホストとなることが多い。
バトラー大学ブルドッグス
一時、ペイサーズの低迷とは裏腹に成績を上げてきたのが小さな私立校、バトラー大学(Butler University)ブルドッグス。2010年、地元開催のファイナルフォーに進出。決勝でデュークに敗れたものの、歴史的快挙をやってのけた。(翌2011年も決勝進出)
NCAAトーナメントには10回出場。90年代後半から急速に強くなってきた。
現在、所属するカンファレンスはBIG EAST。2010年ドラフトでユタに指名されたゴードン・ヘイワードは久しぶりに生まれたNBA選手。インディアナポリス近郊のブラウンズバーグ出身。
ホーム、ヒンクルフィールドハウスは1928年完成の、歴史を感じさせる名物アリーナ。11,000人以上収容できるが、成績、相手によってはチケット入手が難しい。ダウンタウンからミシガンストリートを北上したキャンパスにある。
インディアナ州の高校バスケットボール
州全体のハイスクールが盛り上がるが、インディアナポリスで有名なのはまずローレンスノースハイスクール。オハイオステイトに共に進んだ、グレッグ・オデンとマイク・コンリーJr、そしてノースカロライナ大学へ進んだエリック・モントロスなどを輩出している。
ほか、殿堂入りしているオスカー・ロバートソンはじめ、エリック・ゴードン、ランディ・ウィットマンなどがインディアナポリスの高校出身。
Fort Wayne(フォートウェイン)
インディアナポリスから69号線を北東へ2時間強。かつてピストンズがフランチャイズを置いた州第2の都市。
フォートウェイン・アンツ
現在、そのピストンズとペイサーズ、そしてバックスなどのマイナー球団、フォートウェイン・アンツがある。
オフィシャルサイト
ホームはかつてピストンズも使用したウォーメモリアルコロシアムで、13,000人収容。
Bloomington(ブルーミントン)
インディアナ大学フージャーズ
インディアナポリスから南下すること1時間。
ブルーミントンに、州を、アメリカを代表するカレッジバスケットボールチームがある。インディアナ大学(Indiana University,IU)フージャーズである。
しかし、この大学はボブ・ナイトと一心同体であった。彼がスキャンダルで追い出されてからというもの、フージャーズの低迷は目も当てられなかった。
ナイトに代わったマイク・デイビスは2002年にNCAA決勝まで導くが、プレッシャーに耐えられず。
続くケルビン・サンプソンはエリック・ゴードンのリクルートに成功しながら、NCAAルール違反で退任。
現在はマーケット大学でドウェイン・ウェイドをコーチしたトム・クリーン。再建は成功しつつある。
通算5回という、ノースカロライナと並んで全米3位(1位UCLA11回、2位ケンタッキー8回)のNCAA優勝回数を誇るIU再建の道もまだまだこれから。
OBはまず2人のホールオブフェイマー。
ウォルト・ベラミーはあまり知られていないが、1960年ローマオリンピックの金メダリストの黒人ビッグマン。USAチームメイトにジェリー・ウェストやオスカー・ロバートソン、ジェリー・ルーカス。
もう一人はアイザイア・トーマス。こちらは1981年NCAA優勝の立役者。NBAデトロイトでの活躍も周知のとおり。
ほかに1984年ロサンゼルスオリンピックでもナイトの下でプレイ。1987年優勝の中心メンバーで来日経験もある、現UCLAヘッドコーチのスティーブ・オルフォード。
さらにケント・ベンソン、クイン・バックナー、カルバート・チェイニー、ディーン・ギャレット、キース・スマート、アラン・ヘンダーソン、スコット・メイ。現役プロではエリック・ゴードン、DJ・ホワイトにジェイレッド・ジェフリーズ。すさまじい名前が連なる。
ちなみにスコット・メイの息子で、NBAへ進んだショーンは、ジェフリーズと同じブルーミントンノースハイスクールの出身(大学はノースカロライナへ進んでしまった)。この高校からは、ナイトの息子で現ラマー大学ヘッドコーチのパット・ナイトや、2003年NCAA優勝の、シラキュース大学のキャプテンだったキース・デュアニーが出ている。
ホームはアッセンブリーホール。スタンドの傾斜角度が高い、独特の形状。17,257人収容。チケット入手はもちろん難しい。キャンパス内にあり。
West Lafayette(ウェストラファイエット)
シカゴとインディアナポリスの間、65号線沿いの町ラファイエットの文字通り西側にある。シカゴから2時間、インディアナポリスから1時間。
パーデュー大学ボイラーメーカーズ
インディアナ大学と同じビッグテンカンファレンス所属で最大のライバル校、パーデュー大学(Purdue University,PU、ボイラーメイカーズ)の所在地である。
IUのライバルというだけあって、強豪。しかしNCAAタイトルは未だ縁がない。1969年の準優勝が最高成績で、ファイナルフォーには1980年も進出。’94、’00にベスト8まで勝ち残っている。
PUバスケットボールを語る上で外せないのは、2010年6月に亡くなったジョン・ウードゥン。7連覇を含む、10回のNCAA優勝というUCLAでのコーチとしての大偉業が目立つが、選手としてもPUを1932年に全米チャンピオン(現在のトーナメントはまだ存在しなかった)に導き、プレイヤーとコーチ、両方で殿堂入りしている。*両方での殿堂入りはウードゥンのほか、ビル・シャーマン、レニー・ウィルケンスの3名のみ。1969年にはUCLAコーチとして、母校PUを倒した。
コーチとしてパーデューのアイコンとなるのはジーン・キーディ。1980年にコーチに就任。2005年まで在任し、通算512勝はボブ・ナイト(661勝)に次ぐ成績。しかし・・・彼は(も?)ファイナルフォーにとどかなかった名将の一人。
現コーチはOBのマット・ペインター。サザンイリノイで1シーズン成功後、恩師キーディの下、やはり1シーズンアソシエイトヘッドコーチをつとめ、2005年にヘッドコーチに就任した。2年目から6シーズン連続で20勝超えをマークしており、2009,2010はいずれもNCAAベスト16という好成績を残している。しかしブースターの願いはファイナルフォー進出とタイトル。ペインターのゴールもまた高く険しい。
OB。最近ではブラッド・ミラーが有名。ほかにブライアン・カーディナルとカール・ランドリー。伝統的にフィジカルの強いスタイルで知られており、ミラーなどはその象徴とされる。さかのぼって1994年NBAドラフト1位のグレン・ロビンソンもPU出身。
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ホームはマッケイアリーナで収容14,123人。とにかく丸い形が特徴的で、ミネソタと同じく、ベンチがコートから1段下がっているのも面白い。
州全体ではIU人気が圧倒的だが、同じ州立大学のPU信者も多い。チケット入手はかなり難しい。
South Bend(サウスベンド)
ノートルダム大学ファイティングアイリッシュ
州北端、ミシガン州との州境にある、フットボールで有名な名門私立、ノートルダム大学(University ofNotre Dame、ファイティングアイリッシュ)の所在地。フリーウェイ80/90(有料)でシカゴから1時間強で着く。デトロイトが3時間強、クリーブランドとインディアナポリスはそれぞれ4時間かかる。
フットボールプログラムは絶対的なもので、8度のNCAAタイトル獲得はじめ、通算勝率がミシガンに次ぐ2位、勝利数はミシガン、テキサスに次ぐ3位。バスケットボールでいうところのUCLAやケンタッキー、ノースカロライナあたりと同じ存在。がしかし、優勝こそないものの、バスケットボールも強豪校と言える。最高成績は1978年のファイナルフォーだが、これを含むベスト8には5回、NCAAトーナメント出場は33回という名門である。
特に最多勝利コーチであり、現在ESPNの名物コメンテイターであるディガー・フェルプスが指揮をとった1971年から’91年の間が1つの黄金時代。この間、15度のNCAA出場を果たしている。
現コーチはマイク・ブレイ。元々はメリーランド州の名門ハイスクール、デマッサで伝説のコーチ、モーガン・ウットゥンに師事。ダニー・フェリーとともにデュークに入り、今度はコーチKの下でアシスタントを務めた。ヘッドコーチとしてはデラウェア大学で成功した後、ビッグプログラムであるアイリッシュへ。すでに10年経過したが、9度のNCAA出場は十分に評価される。が、そろそろファイナルフォー出場という実績はほしいところ。
OBは現役ではベテランの域に入ったトロイ・マーフィ。そしてマット・キャロルとクリス・クイン。白人選手の活躍が目立つ。古くはホーウオブフェイマーのエイドリアン・ダントリー。ほかに選手としても偉大だった、次期ニューオーリン・ホーネッツヘッドコーチのモンティ・ウィリアムス。あとはラフォンソ・エリスにパット・ギャリティ。ブルズ黄金時代を支えた名ガード、ジョン・パクソン。故オーランド・ウーリッジや、ピストンズの悪役、ビル・レインビアー。ユーロリーグで活躍するアメリカ人プレイヤーの先駆的存在であるデビッド・
リバースなど。これらの名前を見ても、やはり強豪と呼ぶにふさわしい学校。
ホームアリーナは1968年完成のジョイスセンター。10,000人収容。
フットボールスタジアム(80,795収容)脇の、丸い建物。
Evansville(エバンスビル)
州南西端の、ケンタッキーとの州境の町。インディアナポリスからは65号線、ルイビルで64号線WESTへ乗り換え。最後に164号線へ乗換えで計4時間ほど。ルイビルとミズーリ州セントルイスのちょうど中間あたりで、どちらへも2時間ほど。南方、ケンタッキー州をまたいでテネシー州ナッシュビルへも3時間弱で行けるロケーション。
エバンスビル大学パープルエイシズ
この町のディビジョン1プログラムがエバンスビル大学(University of Evansville)パープルエイシズ。小さい私立校で、上記3校に比べれば力が落ちるのは否めないが、この州の中堅校は馬鹿にできないので紹介する。
*女子チームに日本人、大野慎子選手が在籍した。
参考→女子バスケットボール!
ディビジョン1参加は1977年で、ミズーリバレーカンファレンス加入も1994年と最も遅い。その後のトーナメントNCAA出場は5回。OBでNBA選手は少ないが、ホールオブフェイマーが一人。ジェリー・スローンである。
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ホーム、ロバーツスタジアムは12,300人収容。キャンパスの東方にあり、1956年完成。2011年から新アリーナ使用予定。エバンスビル行政のバックアップは大きい。
Terre Haute(テレホート)
インディアナポリスから70号線を西へ1時間半弱。セントルイスからは同じ70号を東へ2時間半。シカゴからは5時間ほどかかる。
インディアナステイト大学シカモアズ
インディアナステイト大学(Indiana State University、シカモアズ)の所在地。
ラリー・バードの母校である。当初インディアナ大学に進んだバードはボブ・ナイトと合わず、ISUに転校した。(ちなみにインディアナ大学のあるブルーミントンとは車で1時間半ほど。)バードが牽引した、1979年のNCAA準優勝が有名。以降は2000年、’01年と’11年のみNCAA出場と低迷している。
MVCに所属。
ホーム、フルマンセンターは10,200人収容。キャンパス内にあり。
Muncie(マンシー)
ボールステイト大学カージナルス
インディアナポリスから69号線をフォートウェイン方面へ1時間ほど。(途中チェスターフィールドで乗り換え)ガラス瓶製造で有名なボール社が設立した、ボールステイト大学(Ball State University、カーディナルス)がある。
所属カンファレンスはミッドアメリカンカンファレンス(MAC)の中堅校。
’80年代に力をつけ、1990年のNCAAトーナメント、ベスト16が最高成績。懐かしの、ボンジ・ウェルズの母校。
ホームは1992年完成のウォーセンアリーナ。11,500人収容の比較的新しい施設。
Valparaiso(バルパライソ)
バルパライゾ大学クルーセイダース
シカゴから東へすぐ。バルポの愛称で親しまれる、バルパライソ大学(Valparaiso University,Valpo、クルーセイダース*十字軍)の所在地。
ホライズンリーグ所属。1998年のNCAAベスト16が最高成績で、このトーナメントのミシシッピ大学戦でのブライス・ドリューによるブザービーターは語り草。現在でもハイライトシーンに登場する。彼は現在チームのヘッドコーチ。1988年から指揮をとった父親のホーマーの跡を継いだ。コーチ一家で、ブライスの兄スコットはテキサスのベイラー大学ヘッドコーチ。見事な手腕を見せている。
ホームはキャンパス内のアスレチクス_リクリエーションセンター。収容5,000人と小さく、人気チームとの対戦はチケット入手が困難。やはり雰囲気のいいジムである。