Philadelphia(フィラデルフィア)エリア
東海岸ではニューヨークに次ぐ大都市だが、日本からの直行便はなし。
ボストンと同じく大学が多い、文教の町。州東南端に位置し、ニュージャージー、デラウェアとの州境にある。95号線で、南はワシントンDCへ3時間、北はニューヨークへ2時間。
州第2の都市、西方のピッツバーグは遠く、76号WEST(有料のペンシルバニアターンパイク)で5時間半かかる。
フィラデルフィア・セブンティシクサーズ
1949年、ABLから加入したシラキュース・ナショナルズが前身。
ウォーリアーズが西海岸に移った翌年の1963年、フィラデルフィアにやってきて、セブンティシクサーズが誕生。最初のシーズンにいきなりファイナルまで進んだほか、3度の優勝、6度の準優勝を誇る名門球団。
当初からなんと22年連続でプレイオフに出場し、レイカーズ、ニックス、そしてセルティックスあたりと激しく争ってきた。初優勝は1955年で、当時のエースはビッグマン、ドルフ・シェイズ。*息子ダニーも地元シラキュース大学卒業後、NBAで活躍した。
2度目の優勝は1967年。散々ボストンに苦杯をなめてきたが、ウィルト・チェンバレンやのちにコーチとしても活躍するビリー・カニンガムらによって、ファイナルでは因縁の相手、サンフランシスコ・ウォーリアーズを4勝2敗で退けた。
その後は再び優勝から遠ざかるが、1983年、カニンガムがコーチとして、モーゼス・マローン、ボビー・ジョーンズ、モーリス・チークス、アンドリュー・トウニー、そして”レジェンド”ジュリアス・アービングらを率い、レイカーズをファイナルでスイープ。3度目の優勝を達成した。
その後は1984年にチャールズ・バークリーというフランチャイズプレイヤーを獲得。何とかプレイオフに踏みとどまるが、バークリーがフェニックスに移籍した後は、球団史上最悪の7年連続ポストシーズンなし。
ジョージタウン大学よりアレン・アイバーソンを得、2001年にNBAファイナルまで進出するも、以降、やや低迷のまま現在に至っている。
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ホームはウェルズファーゴセンター。1996年完成。収容2万人を超える大規模施設。
チームの成績を反映し、観戦難易度は70%でNBA全体で29位に沈む。アウェイでは88%で同18位と健闘。
ダウンタウンの南のはずれ、空港に近く、デラウェア川付近。MLBフィリーズ、NFLイーグルスのホームスタジアムなどとともにスポーツ施設が集まるエリアで、広大な駐車場を擁するのが有難い。隣接するかつてのホーム、名物施設のザ・スペクトラムも是非訪れるべき。
ペンシルバニア大学クエーカーズ
バスケットボールマニアにとって、フィラデルフィアは聖地。シクサーズがやはりリーグ有数の伝統球団であることも一因だが、何と言ってもカレッジバスケットボール。フィラデルフィアビッグ5と呼ばれる名門校が存在する。
まずはアイビーリーグの一角、ペンシルバニア大学(University ofPennsylvania,Penn、クエーカーズ)。ニックネームからもわかるとおり、私立だが市民の誇りとなる大学。
学業が優秀なのは言うまでもないが、バスケットボールも名門。
長らく、アイビー内ではプリンストン大学と2強を形成してきた。ペンが23回、プリンストンが24回のNCAAトーナメント進出を果たしている。
1971年にベスト8、そして'79年にファイナルフォーに進出。'79年はセミファイナルでマジック・ジョンソン率いるミシガンステイトに敗れている。この2度の快挙は奇跡。
OBではマット・マロニーが日本でも有名か。身体能力のない彼が、ヒューストン・ロケッツでチームメイトだった"former sixer"バークリーに可愛がられたのは偶然か。現ヘッドコーチはそのマロニーとともに、現役時代にバックコートコンビを組んだジェローム・アレン。
ダウンタウンにキャンパスのあるペンのホーム、ザ・パレストラは、人によってはマジソンスクエアガーデン以上の聖地。その造りもあって、バスケットボールカテドラル(聖堂)と呼ばれている。1927年完成で、収容は1万人までOK。駐車場が大変だが、ここは、ここだけは、たとえシクサーズがコービーやレブロンを迎えるというゲームを見逃しても、訪れてほしい。
ビッグ5はカンファレンスが全て同じではないが毎年ゲームが行われる。それぞれ自前のアリーナを持つが、ビッグ5の対戦は主にパレストラで行われる。
ビラノバ大学ワイルドキャッツ
続いてフィリー北西郊外にある私立校、ビラノバ大学(Villanova University,NOVA、ワイルドキャッツ)。
トーナメント出場32回で、1985年にはNCAAチャンピオンに輝いた、成績ではビッグ5ナンバーワンの強豪校。ビッグイーストに所属し、同カンファレンスのジョージタウン大学との決勝となった'85年ファイナルは、史上最大の番狂わせと言われる伝説的ゲーム。*NOVAのフィールドゴール%が78.57!。
OBではまずポウル・エイリジン。地元フィラデルフィア・ウォーリアーズ(現ゴールデンステイト)で暴れまわったホールオブフェイマー。
現役NBAでスターはいないが、ティム・トーマスは息の長い選手。ほかにトロントで地味に活躍したアルビン・ウィリアムスや、福岡ユニバとNBAジャパンゲームで来日したケリー・キトルスなど。現コーチ、ジェイ・ライトは名将。強豪プログラムとして認知されている。
ウィザーズとジョージタウンの関係に似ており、シクサーズのウェルズファーゴセンターをホームとして使用。キャンパス内にもアリーナを持っており、優勝した翌年にザ・パビリオンを建設。6,500人とキャパシティが少ないのは、パレストラを使用することも多いから。強豪校相手で、より多くのチケット収入が見込まれる場合、ウェルズファーフォセンターが使われる。
テンプル大学オウルズ
3つ目はテンプル大学(Temple University、オウルズ)。ビッグ5唯一のマンモス州立大学で、日本にもキャンパスがあることで有名。アトランティック10に所属し、総合的な成績ではNOVAに次ぐ強豪。NCAAトーナメント出場は31回。古豪で、1956年と’58年にファイナルフォーに進出。エイトにも5回出ているが、 もう一歩壁を破れないでいる印象。
ジョン・チェイニーという、黒人の名物コーチが長らく率いたが、引退後はビッグ5のペンからフラン・ダンフィーを招き、引継ぎをスムースにおこなった。
OBで有名なのは1993年エリート8のメンバー、エディ・ジョーンズ。そしてそのチームメイト、アーロン・マッキー。
ほかにアルゼンチン代表PGとして活躍したペペ・サンチェスなど。
ホームは1997年完成のリアコーラスセンター。10,000人ほどの収容。バスケットボールが看板スポーツであることがわかる。ダウンタウンの北側にキャンパス。
セントジョセフ大学ホークス
4校目はセントジョセフ大学(St.Joseph's University,St.Joe.、ホークス)。ダウンタウン西郊外にキャンパスを持つ私立校。
アトランティック10所属で、NCAAトーナメント出場18回の強豪。
やはり伝統校で、1961年のファイナルフォーが最高成績。最近ではジャミア・ネルソンとデロンテ・ウェストのバックコートを軸にベスト8まで残った2004年のチームが記憶に新しい。ジャック・ラムジーなど多くの名将が率いたプログラムだが、'95年に就任した現コーチ、フィル・マーテリもかなりの名コーチ。
ホームはヘイガンアリーナ。最近改装し、キャパを増やしたのだが収容4,200人。成績が良いので、応援の熱狂度に拍車がかかっており、チケット入手は(相手にも夜が)困難な状況。 6,000は欲しかった。。。
ラサール大学エクスプロアーズ
ビッグ5最後はラサール大学(La Salle University、エクスプロアーズ)。
やはりアトランティック10所属の古豪で、1954年のNCAA優勝校。翌'55年も準優勝。低迷していたが、2013年の躍進は記憶に新しい。
1954優勝の立役者はホームアリーナの名前にもなっているホールオブフェイマー、トム・ゴーラ。卒業後はやはり地元ウォーリアーズで活躍した。現役NBAではラシュアル・バトラー。
最後の黄金期?メンバーではライオネル・シモンズやダグ・オーバートン。そしてコービー・ブライアントの父ジョーもOB。コービーも”一応”進学先リストの中に入れていた。。。
ホーム、トムゴーラアリーナは4,000人収容。キャンパスは北郊外にあり。
フィラデルフィアの高校バスケットボール
フィリーももちろんスター名産地。
最近有名なのはセントジョーの近くにあるエピスコパルアカデミー。ペンの現コーチ、ジェローム・アレンのほか、UNCの2009年優勝メンバー、ウェイン・エリントンと、同期でデュークに進んだジェラルド・ヘンダーソンを輩出。
そしてラシュアル・バトラーとシートンホール大学に進んだ故エディ・グリフィンの母校、ローマンカトリック。さらにアーロン・マッキーとラシード・ウォレスを生んだサイモングラッツ。
古いところではコービー父ジョーとアール・モンローの母校、ジョンバートラム。ウィルト・チェンバレンの母校、オーバーブルックはマリック・ローズの母校でもある。
Pittsburgh(ピッツバーグ)
東西に細長い州の西部にあり、東端フィラデルフィアとは遠く離れた第2の都市。オハイオとの州境が近く、76号と80号西行きでクリーブランドまで2時間半で着く。オハイオ州都コロンバスへは70号で3時間ほど。また、79号線で南下すると、ウェストバージニア大学のあるモーガンタウンへ1時間半で着く。MLBパイレーツ、NFLスティーラーズの本拠地だが、NBAは無し。
ピッツバーグ大学パンサーズ
ビッグイースト所属の強豪、ピッツバーグ 大学(University of Pittsburgh,Pitt、パンサーズ)がバスケットボールの中心。こちらも創部100年を超えた古豪。ビッグイーストには1980年代初めに加入している。*2013-14よりACC
NCAAトーナメント出場は24回。2000年代に入り、より強化された印象。が、ファイナルフォー進出の壁は厚く、初出場の1941年以来進めていない。'90年代はやや低迷期であったが、前UCLAコーチのベン・ハウランドが見事な再建。弟子のジェイミー・ディクソンがうまく引き継ぎ、素晴らしいプログラムを維持している。
NBAでの現役OBでは、巨漢デュアン・ブレアが注目されるが、プロとして成功できる選手がやや少ない。
1986年のスペイン世界選手権の優勝メンバーで、クリッパーズやニックスなどで活躍したビッグマン、チャールズ・スミスもOB。ほか、地元ペンシルバニア州の出身で、現在アリゾナ大学で指揮をとる若き名将、ショーン・ミラーもPGとして活躍した。ビッグイーストの新人王も獲得した好ガードであった。
BIG EAST時代含め、地理的に、ウェストバージニア大学とライバル関係にある。
ホームはピーターセンイベンツセンター。2002年完成と新しく、収容は12,500人。最近強いので、ACCなどの強豪校が相手だとチケット入手が難しい。ダウンタウン東方のキャンパス内にあり。
デュケーン大学デュークス
もう一校はデュケーン大学(Duquesne University、デュークス)。アトランティック10所属の古豪私立だが、1977年を最後にNCAAトーナメントに進めていない。最近ではジャーニーマンのガード、マイク・ジェイムスがNBAでも活躍した。
ホームはパランボセンター。ダウンタウンのすぐ東にあるキャンパス内。6,200人収容と小規模だが、問題なく観戦できる。Pittの人気とは対照的。
State College(ステイトカレッジ)
州のほぼ中央に位置する田舎の大学町。人口は5万人にも満たない。大都市とのアクセスが非常に悪く、フィラデルフィア、ピッツバーグから4,5時間かかる。
ペンステイト(ペンシルバニアステイト大学)ニッタニーライオンズ
この田舎町に、マンモス大学、ペンシルバニアステイト大学(Pennsylvania State University,Penn State,PSU、ニッタニーライオンズ)がある。
ビッグテン所属で、全米優勝も果たしているフットボールがあまりにも有名。スタジアムはなんと10万人を超える収容。
比較してバスケットボールは旗色悪いが、NCAAトーナメント出場は9回。1954年にはファイナルフォーへ進出している。*ペンシルバニア州のカレッジは古豪が目立つ。
OBにはジョン・アメチやカルビン・ブース。そして日本でも大活躍したトム・ホーバスなど。ビッグテンには1990年に「11校目」として加入。フープではさすがに苦戦。
ホームは1995年完成のブライスジョーダンセンター。15,000人ほど収容。相手にもよるが、そこまで観戦難易度は高くない。とにかくキャンパスまで辿り着くまでが不便。
Erie(エリー)
文字通り、五大湖の一つエリー湖畔にある、州北西端に位置する町。人口は10万人ほど。79号線南下、2時間弱でピッツバーグ。エリー湖沿いの90号、西行きでオハイオ州クリーブランド、東行きでニューヨーク州バッファローへそれぞれ1時間半ほどで着く。
ここにあるのはキャブスとラプターズの下部組織、エリー・ベイホークス。
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ホーム、テュリオアリーナは5,500人ほどの収容。