昨年は11月にNBAドラフト関連投稿を書いていましたが、1か月ほど遅れました。
当ページ初めての、2018年NBAドラフトに向けた内容です。
*参考までに、昨年11月時点でのモック(NBAドラフトネット)と実際の指名↓
ご覧のとおり、トップ15人中10人はそのまま高順位で指名されました。
が、ケンタッキーのガブリエルなどは、思うような活躍の無いまま大学にリターン。
一方で、NCAAトーナメント決勝まで進んだザック・コリンズ(ゴンザガ)やジャスティン・ジャクソン(ノースカロライナ)は評価アップ。ドラフトコンバインなどのお披露目はありますが、レベルの高い真剣勝負が繰り広げられる、NCAAでの活躍がNBAドラフトにおける指名順位に大きく関わってくることは言うまでもありません。
NBAドラフト2018各モックドラフト一覧
*ベースにしてあるのはNBAドラフトネット。八村選手絡みで、日本のテレビでまで紹介されてしまったこの予想サイトが正確であるとは言えませんが、ドラフトエクスプレスのモックがESPNに吸収されてしまった今季、相変わらず最も熱心なのはドラフトネット。NBAドラフト予想のリーダー的存在とは言えるでしょう。
右端2列は別サイト2つのモック順位。フープスハイプ(USA TODAY)とNBAドラフトルームです。
一見バラバラにも見えますが、トップ10、トップ5あたりの選手は既に固まってきているようにも感じますね。
トップ指名候補の選手については、毎週更新のNCAAランキング関連投稿で少しずつ紹介しているほか、選手個別でも投稿していくつもりですので、ここでは省きます。
気になるのは、一巡目下位や二巡目。
現段階ではもちろん、ドラフト指名時点でさえ無名ながら、サマーリーグあたりから突如として台頭してくる選手ではないでしょうか。今年の例ならば、一巡目27位でロサンゼルス・レイカーズに指名されたカイルクズマ。彼のような、”アタリ”選手候補をまず一人。外れたらスミマセン(笑)。
アリゼジョンソン(ミズーリステイト大学4年生、6-9、フォワード)
一番「それっぽい」選手。
ドラフトネットで21位、フープスハイプで24位予想。
ただでさえ、ミッドメジャー校のエースというのはNBAで活躍する傾向にあるので注目しています。
スタッツはここまで全12ゲームにスタートして平均27.8分の出場。チーム1位の14.2ppg・10.2rpgでダブルダブル。フリースロー%771も及第と言えそうです。スリーが11/50で22%と低調ですが、昨季は38.8%の確率で沈めていました。いくらでも改善できるでしょう。そもそもこれだけ試投しているのがすごい。
↓”ミシシッピ”になっていますが、正しくはミズーリステイトです。
まだまだ脆さも目立ちますが、フープスハイプに「ドレイモンドとの比較を始めよう!」とあるとおり、運動能力よりも万能型ですね。楽しみです。
そしてこのような選手が高校時代はノーマークで、短大を経由してようやく中堅校のミズーリステイト、なのですから、やはりその奥深さに感服です。
八村塁(ゴンザガ大学2年生)指名の可能性は?
本来であれば、4年生の渡邊雄太について先に書くべきところですが、あまりに話題になりすぎている(?)感もありますので、まずは八村塁。
上記のとおり、日本のテレビにまで紹介されるほど八村塁のアーリーエントリーをあおりながら、”昨季同様”二巡目からもその名前を消してしまったドラフトネット(本投稿時点)。フープスハイプが14位、ドラフトルームが二巡目52位指名予想としていますが、、、
現段階では、八村塁の2018年NBAドラフトへのアーリーエントリーはないでしょう。
FIBAのU19ワールドカップでは大きな活躍を見せたものの、2年生となったゴンザガ大学での今季、全10ゲームベンチから平均18.6分出場で、チーム7位の9.4ppgに、同3位の4.6rpg。
スタートであることや、大学でのスタッツで決めるものではないことは理解していますが、昨季やはりベンチから貢献した同級生のビッグ、ザックコリンズと比べても、「NBAが今どうしても手に入れて育てたい」選手ではないと思います。また、vsフロリダやビラノバなどのビッグゲームにおける勝負強さや、ディフェンスでのインパクトが少ないことも否定できません。
現状ならば、FIBAイベントでの活躍に言及しているフープスハイプも、次回更新時に八村の名前をモックから消すでしょう。
もちろん、NCAAバスケットボールシーズンはまだ序盤。毎年のことながら、WCCカンファレンスに属するゴンザガは、ハイメジャー校とのビッグゲームは終えてしまいましたが、カンファレンスゲームで先発獲得か同等の地位を築き、かつNCAAトーナメントを含めたポストシーズンで大活躍すれば、2018年のエントリーも当然あり得ます。
ただ現状では未だにゴンザガの「システム」に100%順応しきれていないのと、コミュニケーションそのものでも不足している点があるようです。チーム5人目のスターター争いにしても、ザックノーベルとコリーキスパートに後れをとってしまっています。
いずれにせよ、八村とゴンザガ大学の”関係性”であれば、NBAへのエントリーにあたり、八村はHCマークヒューやACトミーロイドはじめとしたZagsコーチ陣にアドバイスを請うでしょう。その時、多くのプロ選手を輩出しているゴンザガのスタッフは、八村にとって最適の助言をするに違いありません。間違っても、NBA入りの資格がありながら大学にとどまらせるようなマネはしない、選手の将来を最優先する真の優良プログラムであることは保証できます。
そして、たとえ2018年ドラフトを見送ったとしても、八村の将来が輝くものであることは疑いようがありません。「現段階ならば」来季は間違いなくスターター。少なくとも15ppg・8rpgほどの数字をあげ、2019年(遅くとも2020年)NBAドラフトで10位前後、もしくは10位以内で指名されることになるのではないでしょうか。*何より、学業優先で4年間を全うする選択も大いにあり得ます。
最後に再びNBAドラフトネット。あおっているように見えて、このサイトは冷静です。FIBAイベントでの八村の活躍は物凄いものでしたから、どこよりも早く名前を再掲載したと思いきや、今季のゴンザガでのパフォーマンスが上位指名に値しないと判断するや、即モックに反映させました。
八村塁という才能をどこよりも早く発見し、1年生シーズンの公式戦が始める前(!)に8位指名予想をして私たちを驚かせ、喜ばせたNBAドラフトネットが、”モックドラフト業界”の先駆的存在であることは間違いないでしょう。他サイトは、ドラフトネットの動きに”合わせている”フシさえあります。「52位」と評価したドラフトルームの”目”も確かなものですが、二巡目ならばアーリーエントリーする意味はない。八村塁は日本が世界に誇る逸材です。
*ドラフトネットは八村とともに、彼のルームメイトであるフランス人、キリエンティリもモックから外しました。昨季から八村以上の成績を残しているティリは、2018年のNBAエントリーでもおかしくない選手ですが・・・つまりは「そういうこと」なのです。
PK80インビテーショナルvsフロリダ戦より↓*ESPN
渡邊雄太(ジョージワシントン大学4年生)指名の可能性は?
そして渡邊雄太。
4年生である彼には時間がありません。2018年のNBAドラフトで、何としても指名してもらいたい選手です。
が、現状では二巡目での指名も難しいでしょう。
何といっても、渡邊が所属するジョージワシントン大学の現在置かれている状況です。
当ページで再三紹介しているケンポンランキング。ここにおいて、ジョージワシントン大学は現在158位(ゴンザガは10位)。このような環境(チーム)においては、”とてつもない”活躍がない限りドラフトで指名されることはない。*”とてつもない”とは、あくまでも目安ですが、25ppgとか18rpgとか15apgとか、そういう数字です。
渡邊雄太は、今季ここまで全ゲームスタートで、いずれもチーム1位の平均37.4分出場、15.1ppg・6.9rpg・計23ブロック。八村の倍ほどにもなる出場時間は、全米4,000人を超えるNCAAディビジョン1全選手の中で1,2を争うほどの数字です。さらには、数字に表れにくいディフェンスでの貢献。大車輪の活躍で、4週目にして、名門アトランティック10カンファレンスの週間MVPを受賞。
立派です。しかし、それでもなおNBAドラフトでの指名は難しい。今更ながら、NBAは気の遠くなるようなレベルの高さです。
ディフェンスと並ぶ渡邊雄太の武器であるはずの、スリーポイントが低調。今季11/42で成功率262は、本人も悩むところでしょう。スリーをぽんぽん沈めることができれば、また状況が変わることは間違いありません。
ここで渡邊本人が今季目標に掲げている、A10カンファレンスのプレイヤーオブジイヤーについて。このアワードを受賞することは、NBAドラフトに繋がるのでしょうか。
過去10シーズン*ゼイビア、テンプルは脱退済み↓
そして2017-2018シーズンの、A10出身現役NBA選手*ベンブリー除く↓
ジャミアネルソン(セントジョセフ)やデビッドウェスト(ゼイビア)はやはり突出した存在であることがわかります。さらに遡ればマーカスキャンビー(UMass)らがいますが、、、A10ほどの名門カンファレンスで、たとえPOYを獲得しても、それでもNBAは保証されない。
難しい。しかし渡邊雄太の可能性は十分。今後の活躍により、ドラフト指名も夢ではありませんし、ドラフト外からでもNBAへの道は多分にあります。
ジョージワシントンの1年先輩、来日もしたタイラーカバノーもまた、渡邊雄太の道しるべ。
ドラフト外から、見事に生き残っています→カバノーとホークスの契約関連記事
渡邊雄太と八村塁。両選手にとって厳しいとも言える現状を書きましたが、しかしそれでも、NBAドラフトにかかろうかという、彼らの選手としての才能は素晴らしい。4,000人以上いるNCAAディビジョン1選手の中で、NBAでプレイできるのはそのわずか1%の30-40人ほどなのですから。
こちらは「現実を見ろ」という内容の記事。
ただ逆に言えば、これほど多くの選手が自分はNBAでプレイするのだ、という自信を持っているということ。その激しい競争の真っただ中にいる、渡邊雄太と八村塁。2人の日本人選手に、あらためて期待とリスペクトです。
最後に。
個人的にはあまり好きでない話ですが、、、アメリカ4大スポーツの中で最も「市場」を世界に広げているNBAは、各大陸の中で圧倒的に少ないアジアの選手を獲りたい。マーケティング的にも、優秀なアジアの選手がNBA行きに有利とは言えるかもしれません。
<追記>
おそらく八村が戸惑っている(いた?)と想像できる、NCAA校バスケットボールプログラムの「システム」(この呼び方を気に入らないコーチも多数いらっしゃいます。フィロソフィとした方が良いかもしれません。)。
その精巧なシステムの一例。
各校、個性の強いヘッドコーチのカラーが打ち出されますが、それに加えて、全てのゲーム前に「ゲームプラン」が配布されることが一般的です。これはペーパー数枚から、多ければ10枚以上にもなると言われます。概要からオフェンス、ディフェンス・・・現代バスケットボールはますます「頭」が必要になってきてるように感じます。
↑某NCAAディビジョン1校女子チームのプレゲームプラン。
主にアシスタントコーチが作成する、こういったペーパーがゲームごとに配られ、これを基にミーティングが行われます。おそらくゴンザガほどのプログラムならば、さらに緻密で濃い内容のものになるでしょう。
選手もコーチも、海外で学ぼうとする方は、もはや英語は必須ですね!