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テレンスファーガソンとオーストラリアNBL-NCAAとBリーグは?

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ベン・シモンズが吠えている件を先日書きました。
それに関連して。

NCAAバスケットボールに進まず、シモンズの故郷オーストラリアへ渡った高卒選手についてです。

テレンス・ファーガソン

今秋大学進学予定者(class of 2016)の中で11位(ESPN)評価だった彼は、NCAAトップ10に入るプログラム、アリゾナ大学への入学が決まっていました。

   

が、それを取りやめ。向かった先は・・・オーストラリアのプロリーグ、NBLです。


細身ですが、運動能力が高い↓


   




   

以下、ニューヨークタイムズの記事から抜粋します。

◆ファーガソンは高卒で、ルール上当然NBAドラフトにはエントリーできません。一度はアリゾナ大学への入学を決めますが、これを取りやめ、オーストラリアNBLの、アデレード36ERSへ入団し、プロバスケットボール選手になりました。

◆6-7のガードであるファーガソンは、36ERSでプレイすることによって、家と車を用意され、アンダーアーマーや下着のPSDとの広告契約もあって、mid-six figuresつまり5000万円ほどを一年で稼ぐことになります。また、来年6月のNBAドラフトでは一巡目指名が予想されています。*NBAドラフトネットで現在17位予想。

◆もちろんファーガソンは初めての高卒アメリカ国外プロ選手ではありませんが、オーストラリアから誘われたのは彼が初です。*下でも書きますが、中国に行ったエマニュエル・ムディエイや旧bjリーグにもやってきたジェレミー・タイラー、それにイタリアでプレイしたブランドン・ジェニングスらがいます。

◆すべては今年4月から始まりました。マクドナルドオールアメリカに選ばれていたファーガソンは、ポートランドで行われたナイキフープサミットでもプレイしました。このゲーム後、全く予想外に、オーストラリアのプロチームが接触してきたのです。この時ファーガソンと彼の母親は、オーストラリアにプロリーグが存在することも知りませんでした。その場で、ファーガソンは36ersのこと、受け取れるであろう利益、海外のことを知りました。

◆2006年から、NBAはドラフトにエントリーする条件として、19歳であることと、少なくとも高校卒業から一年が経過していることを定めています。これにより、コービー・ブライアントやケビン・ガーネット、そしてレブロン・ジェイムスらのような高卒スター選手の時代は終わりました。

◆36ERSのコーチ、ジョーイ・ライトは言います。「一年間稼ぐのを止めてぼーっとしているビジネスマンはいない。バスケットボールプレイヤーだって同じだ。NCAAは教育の重要性を説くが、NBAに行ってからオフシーズンに勉強し、学費は自分で払えばいい。」と。

◆決断に悩んだファーガソンは、友人で、元チームメイトのエマニェル・ムディエイに相談します。ムディエイは2015年NBAドラフトで、全体7位でデンバー・ナゲッツから指名された選手で、やはり高卒。ラリー・ブラウンに誘われ、ダラスのサザンメソジスト大学(SMU)への入学が内定していましたが、ドラフト前の一年を中国プロリーグCBAで過ごしました。ファーガソンは、ムディエイから言葉の問題など、中国での経験はあまり快適でなかった話を聞きます。この点、英語圏であるオーストラリアNBLは、若いアメリカ人選手にアピールできます。*ファーガソン自身は冗談半分で「オーストラリアなまりがすごい。車の運転が右ハンドル、左側走行であることにもビビった。」と言ってますが(笑)。

◆「息子はただ単に海外へ行くという機会以上の経験を得ている。」と母親のレイチェル・ホルドマンは言います。彼女はシーズンが終わる来年2月まで、息子と一緒に過ごすためにアデレードに引っ越しました。「これはすごく新しいオプションで、多くの高校生が知らないと思うけど、私は他の親から聞いていたの。」

◆当然と言えば当然ながら、チームはファーガソンにリーグを支配するようなプレイを前提で契約していない。堅実に貢献してくれることを望んでいる。コーチ・ライトの話:「ファーガソンのような選手を抱えることで、我々のファンはファーガソンがNBAに進んだ後、”彼は36ERSにいたんだ”と話す。これは大きい。こういうことがファンとNBAをつなげるんだ。そして我々のマーケティングにも重要なんだ。36ERSのロゴがESPNに出る。これは滅多にあることじゃない。」

◆ライトはすでに、ライバル球団から36ERSがどうやってファーガソンを連れてきたのか聞かれていると言います。また36ERSのGMジョー・ターザキアンは、シカゴ・ブルズ、ミネソタ・ティンバーウルブズそしてデンバー・ナゲッツがすでにアデレートまでやって来たと言います。ライトも、「6人のスカウトが最近の練習を見に来た。」と。(ファーガソンは不在だったらしいですが)

◆36ERS周辺は、来季も4人のハイスクールシニア(日本で言う高校3年生)を狙っているらしい。

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いろいろ考えさせられます。

まずNCAAバスケットボールファンとしては複雑。いよいよ「選手に報酬」を考えないといけないのかもしれません。有望高校生がどんどん流出してしまう可能性があります。

そしてBリーグのファンとして。奇しくも、オーストラリアNBLのシドニー・キングスから、スタンフォード大学出身の元NBA選手、ジョッシュ・チルドレスが、三遠ネオフェニックスの電撃入団しました。

   

あくまで想像ですが、チルドレスは待遇面を考慮して三遠入りを決めたのだと思います。

ラグビー、サッカー、クリケットにオーストラリアンフットボールにおされ、代表が世界トップレベルであるにもかかわらずバスケットボール人気が今一つであるオーストラリアNBLは、サラリーキャップが低く設定されており、選手のサラリーはNBAのDリーグ並み(年棒500万円未満)と言われます。

   

他方、33歳のチルドレス含め、現在のBリーグに在籍している外国籍選手は30歳前後のベテランが多く、(失礼ながら)”これからNBAに行くんだ”という未来の世界的スターを獲得は出来ていません。

*旧bjリーグ東京アパッチに、やはり高卒、イスラエルリーグを経由して、ジェレミー・タイラーという選手はいましたが。。。彼はNBAドラフトで二巡目指名を受けましたが定着できず、ここ数年は中国CBAのチームを渡り歩いています。

   

オーストラリアと違って、当然英語圏ではありませんが、若い高校生選手にアピールできることはないでしょうか。サラリーのほか、治安の良さとか・・・

有望高校生を獲得→一年でNBAに去られても、「マイチーム」に在籍したことは語り継がれる。ESPNにBリーグ球団のロゴが出る。・・・

こういうことが起こってくるかもしれないですね。

   

問題はやはり競技レベルでしょうか。NBAへの準備期間としてBリーグがふさわしいかどうか。オーストラリアNBLのレベルはサイズやフィジカル含めて高い。Bリーグのこの点の向上は必須。現状だと、日本に来るスーパー高卒選手にはリーグを支配するような活躍が求められます。

   

最後に、アデレード36ERSヘッドコーチ、ジョーイ・ライトについて。

彼はアメリカ人。ケビン・デュラントやラマーカス・オルドリッジらを輩出した強豪テキサス大学の出身のガードで、1990年NCAAトーナメントではエリート8まで進みました。1991年のNBAドラフトでは二巡目50位で指名され、NBLでのプレイ経験もあります。引退後にコーチとなりました。

テキサス大学時代のチームメイトが、やはりNBAに進み、現在SMU女子のヘッドコーチであるトラビス・メイズ。そして現役引退後にフェニックス・サンズのGMを務めたランス・ブランクス。彼らは3人のイニシャル"B"lanks、"M"ays、"W"rightから、BMWトリオとしてNCAAバスケットボール界を席巻しました。

あの当時はアーリーエントリーこそありましたが、シャキール・オニールが3年生まで在籍する時代。高卒選手は皆無でした。

   

バルセロナオリンピックによる地球規模のNBA人気は、良い意味でも悪い意味でも、、、あまりにも多くのものを変えてしまった感じがします。

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