バスケットボール界の最高峰、NBA(ナショナルバスケットボールアソシエーション、National Basketball Association)。
これがますますIBA、International(インターナショナル)BAになっていくのではないか、と多くの関係者が言います。
え?
と反応される方もいらっしゃると思いますし、アメリカとそれ以外の国、特に最も多くのNBA選手を輩出しているヨーロッパの事情などを見ていこうかと考えました。
参考までに、過去の投稿も是非どうぞ。
> NBAに次ぐプロバスケットボールリーグに?Bリーグの外国籍選手と移籍
そして、こちら > パナシナイコスとユーロリーグによる、”挑戦状”。世界チャンピオンを名乗るのは早い、と。
NBAで増え続ける、”アメリカ人以外”の選手
Bリーグでもお馴染みの外国籍選手、ジャッククーリー、ジョンムーニー、そしてザックオーガストといった素晴らしい選手をコーチしてきた、マイクブレイが、
※インターナショナルプレイヤーの表現としては、”アメリカ以外で生まれた選手”。
※現在NBAアトランタホークスでアシスタントを務めるマイクブレイは、上記Bリーグ選手らをノートルダム大学ヘッドコーチ時代にコーチ。全米有数の名門である同校で、ファイナルフォー進出こそならなかったものの、コーチした23年という期間、そして483という勝利数はそれぞれUNDで最長、最高。デラウェア大学でヘッドコーチデビューを果たす前はデューク大学でコーチKのアシスタント。さらにその前は、母校であるデマッサ高校にて、Kと同じく殿堂入りを果たしているレジェンダリーコーチ、モーガンウットゥンの下でアシスタントを務め、同窓となり、かつ教え子であるダニーフェリーのデューク入りに関わりました。デュークではフェリーの同期だったクインスナイダーをコーチ。このように、旧知であった現アトランタHCのスナイダーに請われ、現職に就きました。
全てのカテゴリーのバスケットボールを、熟知している人物です。
> NBA2023-2024シーズンにおける、インターナショナル選手
では、USAバスケットボールはどのようになっていくべきなのか。
ある面見習うべき、ヨーロッパのバスケットボール事情はどうなっているのか。
アンダーカテゴリー(育成年代)バスケットボールにおける、アメリカとヨーロッパの違い
アンダーカテゴリー(育成年代)に焦点を当てます。
> U16,U17,U18,U19FIBAのアンダーカテゴリー国際大会と日本代表
世界大会のある、2つのカテゴリー。U17ではアメリカが全勝(!)ですが、よりNBAに近づくU19となると、力でねじ伏せることができなくなってくることが結果としてわかります。
1つのポジション
ポジションレス。
これはもうずっと言われ続けていることですが、ヨーロッパにおいては、サイズによるスキルの違いがあまり見られません。昔から、大きい選手であってもスリーポイントが上手い。
アルビダスサボニス(ドマンタスの父)やダークノウィツキーがその象徴でしょう。
1つのポジションにこだわらないのは、ヨーロッパバスケットボールの大きな特徴。
コービーブライアントがアメリカのAAUバスケットボールを批判したことは有名ですが、その内容の1つが、ビッグに重要なスキルを教えていないというものでした。
チームメイトであったスペイン人7フッター、パウガソルと比較してのことだったようです。
> ESPNの記事1
> ESPNの記事2
1つのチーム
当たり前のことのようですが、ヨーロッパでは1年を通じ、同じチーム(クラブ)で過ごし、プレイします。
が、アメリカにはAAUの存在があります。基本的に育成年代の選手は高校に通いますが、夏の数か月は全く別の、AAUのチームに所属します。※上の動画で、ブライアントはAAUを「ただのショウケース」と切り捨てています。
アメリカにもマイクブレイの母校デマッサのほか、最近ではIMGやモントバード(MVA)、そしてサンライズクリスチャン(SCA)といったスポーツ、バスケットボールに特化した素晴らしいプログラムが台頭しておりますが、ヨーロッパのクラブ(ユース)に所属しているメリットの1つはトッププロとの距離が近いこと。
スーパースター、ルカドンチッチが、日本でいう中3や高1といった年代から世界的なプロクラブ、レアルマドリッド(スペイン)に所属したことは有名ですが、アメリカにこういった一貫した組織がないことも育成における課題だとされています。
1つのルール
個人的にはこれが一番大きな問題ではないかと思います。
スイスに本拠を置くFIBAの影響力は、当然ヨーロッパ全土で大きく、どの国においても同じルールでプレイされています。
ところが、アメリカの高校ではいまだにショットクロックが導入されていない州も多い。
信じられないことに、テキサスをはじめとした重要な州で、いまだにショットクロックが使用されておりません。
NCAA、NBAと進むにつれ、選手は柔軟に適応していくものだと考えられているようですが、アンダーカテゴリーを含めた国の代表戦で用いられるFIBAのルールに、ふだんから慣れ親しんでいる方が有利であることは言うまでもありません。
日本バスケットボール(育成)はどこへ向かうべきか
いろいろ書きましたが、アメリカの一番の課題は、これを課題と思っていないこと。
USAバスケットボール(協会)よりもNBA、NCAAの方が大きな力をもつアメリカの多くの人は、いまだにFIBAのゲームに大きな関心を寄せていません。
ワールドカップやオリンピックで自国が負けようとも、「俺たちが他国を強くしてやったんだ」「さぁ、NBAを楽しもう」と考えている節があります。
そのNBAにおいて、半数を超える選手が非アメリカ人となった時、アメリカはどういう反応をするのでしょうか?
そして、アメリカと同じように中学・高校バスケットボールでは”部活”が盛んであり、ヨーロッパと同じようにBクラブのユース組織が力をつけ始めている日本は、育成をどうするべきでしょうか。
1つのサンプルとして。
今秋NCAAディビジョン1スクールに進む、ある日本人選手は、日本を離れるにあたってアメリカの高校とヨーロッパのクラブ、両方の選択肢があったそうです。
彼が選んだのはアメリカ。
その理由はアカデミック(学業)だったとのこと。
これはこれで、良い選択ではないでしょうか。
こちらの、恒例のFIBAのレポートにもあるとおり、ヨーロッパからも、アメリカのNCAAに進む選手は増えています。※75ページ参照。女子(76ページ)はその伸長がさらに顕著。
この一番の要因は、単純にNBAとの距離が近いこと。やはり、NBAスカウトが最も時間を費やすのは、カレッジバスケットボールでしょう。
もっとも、今すぐにでもNBAに行けるような、ビクターウェンバンヤマのような選手はNCAAに来ず、そのままヨーロッパのクラブに残りますね。トップチームでプレイできる彼らにとっては、カレッジバスケットボールがそれほどハイレベルと感じないでしょう。
さて。
NBAは、このまま世界最高峰のリーグとして君臨することができるでしょうか?
ヨーロッパで、例えばユーロリーグとFIBAが結託し、NBAをお金も含めた全ての面で超えるようなプロリーグは誕生するでしょうか?
Bリーグはどこまで成長し、日本人選手はどこを目指すでしょうか?
> 参考記事2
> 参考記事3
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