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NCAAカレッジバスケットボール(男子)におけるデータ分析の現状

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間もなく開幕を迎える、NCAAカレッジバスケットボール2022-2023シーズン。

多くのNBAドラフト候補選手、日本人選手、そしてマーチマッドネスと見どころは満載。

   

今回は、アマチュア(一応)バスケットボールの中では最もリソースに恵まれながらも、さすがにNBAには劣るNCAAカレッジバスケットボールチームが、どのようにスタッツ解析を行っているのか、という内容。

   

相変わらず、素晴らしい記事を提供し続ける、The Athleticの記事から抜粋します。

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NCAAカレッジバスケットボール(メンズ)界では、どのように外部分析会社を利用し、エッジを見出しているのか

2022年ビッグ12トーナメントセミファイナル。カンザスのガード、レミーマーティンは約17フィートからミドルレンジのフェイダウェイを放った。このショットを、各ベンチのコーチがどう感じたかは、分析への依存度によって異なる。

もしhoop-math.comを閲覧していれば、マーティンの2ポイントジャンパーが47.1%の確率で入ることを知ることができた。各ゲームの全てのショットとプレイタイプを追跡するSynergyを使用していた場合、マーティンはオフドリブルからのジャンパーの49.2パーセントと、17フィートからのジャンプショットの50パーセントを決めることを知れた。このジャンパーはビッグ12ゲームでのものだったので、KUコーチ陣はShotTrackerを使用してその値を割り当てることができた。メリアム(カンザス州)にあるその会社は、全ての選手のボールとジャージーの内側にチップを入れている。ShotTracker本社では、選手がスクリーン上に点として表示され、ゲームが展開される。

カンザスのコーチ陣は、対戦相手と自チームのスカウトを提供する第三者分析会社Jam Basketball Intelligenceによる分析も手にしていた。JBIのマーティンに関するレポートによると、彼は昨シーズン、その種のショットで55パーセントを決め、アンコンテストよりもコンテストショットの方が13パーセント優れていたらしい。また、もしコーチ陣がゲームで打たれたすべてのショットの期待値を示すShotQualityをサブスクしていれば、そのショットが約0.58点の価値があることがわかったはずだ。

> JBIによるツイート

ShotQualityの開発者であるサイモンガーズバーグは、このオフシーズンに見込み客に向けたプレゼンテーションの一環として、マーティンのFGアテンプトを使用。映像では、マーティンの上にショットの期待値を示すバブルが表示され、トップオブザキーには、チームメイトのクリスチャンブラウンがワイドオープンになっており、彼の頭上には35パーセントのバブルが表示されている。映像はフリーズされ、マーティンとブラウンの両方に線が引かれ、マーティンのショットは0.58ポイントの価値があるが、もしブラウンにパスしていれば、そのショットは平均で1.05ポイントを生み出していたことを示している。

もし、カンザスのコーチたちが、マーティンに「パスすべきだった」と言ったとしたら、そのメッセージの裏には、フィルムと数字の力があったはずである。

これが、2022年のカレッジバスケットボールである

この10年間、バスケットボール界では分析ブームが起きている。NBAでは、チームは独自の分析スタッフを配備し、データをクラブ内で管理。カレッジでは、NBAのモデルを真似る予算があるプログラムはほとんどないため、外部の人間が利益を得るための市場が形成されている

   

カレッジバスケットボール界アドバンスドスタッツのゴッドファーザーは、ケンポメロイ。彼のサイトkenpom.comは、一部の人にとっては福音であり、ゲームに関わるほとんどの人にとって認知されている。ポメロイのサイトはとても人気があり、彼は2012年に天気予報士の仕事を辞め、バスケットボールに完全に集中することができるようになった。しかし、この分野ではもはや彼だけではない。データに対する需要があるだけでなく、それを実用的な言葉で説明する市場も存在するのだ。

分析会社HDIntelligenceを共同設立したコルトンヒューストンは、ベストセラーで後に映画化された「マネーボール」を例に挙げる。

「多くの人が、出塁率は過小評価されていると考えている。」「しかし、それは本質ではない。あれは本の中の例。もちろん、本が書かれ、誰もがそれを知れば、もはや市場の非効率性ではなくなる。つまり、この本から得られるのは、データ分析によってどのようなアドバンテージを見出すことができるのか?何が過小評価されているのか?潜在的なアドバンテージを得るチャンスはどこにあるのか?データアナリティクスとは、そうした優位性を探し続けることなんだ。」

   

このムーブメントにコーチング側の申し子がいるとすれば、それはトッドゴールデン。サンフランシスコ大学で3シーズンヘッドコーチを務めた後、2022年春にフロリダ大学に雇われた37歳である。ゴールデンは、自分のスタッフの数字に投資している。USFでアシスタントとして働いていたジョナサンサフィールは、ゴールデンについていき、ストラテジーとアナリティクスのディレクターという肩書きだ。

ゴールデンとサフィールは、ワシントンステイト大学HCカイルスミスの弟子。彼はコロンビア大学時代、ハッスルスタッツを含むフロアのあらゆるものを追跡し、測定したものすべてに値を割り当てるシステムを考え出した。彼とゴールデンは、選手のプレイイングタイムを決定するために、その採点システムを使用している。

ミネアポリスで開催された2019年のファイナルフォーで、ゴールデンとサフィールはポメロイに会い、データの第一人者である彼に質問をした。カレッジバスケットボール界で誰もやっていないことで、数字が示唆することはないのか? ポメロイはゴールデンに、前半の終わりにファウルをして、もう1回ポゼッションを獲得すべきであると答えた。

   

9カ月後、USFはパシフィック大学との一戦で、このアイデアを実践した。前半残り11.4秒、ジャマリーブイエがフリースローを決めてドンズが12点リードした後、ゴールデンは即ファウルをするように指示。パシフィック大学のピエールクロックレルがワンアンドワンのFTを打つためにラインへ。彼は1本目を成功させたが、2本目は失敗した。サンフランシスコはリバウンドを取り、ブイエはペイントアタックし、レムレイタネンのブザービータースリー3を狙ってキックアウト。単純にストップしようとすると、パシフィックは0点から3点で前半を終えることになるが、サンフランシスコはファウルで3-1のアドバンテージを得、ハーフタイムのリードを14点に押し上げたのである。

その2週間後、ゴールデンはその理論を試合間際に試してみた。USFは、ケンポン予想によると5点差でBYU有利とされたゲームで、残り22.3秒で2点のリードを保った。サフィールはゴールデンに、スタッティスティカルなプレーは、FTを57.5パーセントしか成功させていないヨーリチャイルズをファウルすることだと進言。チャイルズはBYUのベストリバウンダーでもあるので、クーガースがオフェンスリバウンドを取るチャンスは減る。ドンズはこの計画を実行し、チャイルズをファウル。チャイルズは1&1を失敗した。レイタネンがリバウンドを取り、ファウルされ、両方のフリースローを決め、4点のアドバンテージを作った。サンフランシスコはそのまま1点差で勝利した。

   

フロリダのコーチ陣は、結果よりもプロセスを重視している。例えば、彼らは何年も前から独自のスタッツで「ShotQuality」メソッドを教えている。練習では、ミドルレンジのジャンパーが入ると1点、外れるとマイナス2点。3が入れば3点、外れればマイナス1点。リムショットが入れば2点、外れればマイナス1点としている。

   

2019-20年シーズン、当時のコルゲートのアシスタントコーチ、デイブクラツキーは、ガーズバーグに練習やゲームでのすべてのショットを追跡し、アテンプトの質に基づいて予想される合計点を割り当てることを頼んだ。ガーズバーグはその1年前、コルゲートのガード、タッカーリチャードソンと偶然1年生のルームメイトになった時にクラツキーのオフィスに現れ、スポーツにおけるアナリティクスへの情熱を説明。リチャードソンが「クラツキーに会いに行け」と話したのだ。

ガーズバーグとクラツキーは、ショットクオリティを1〜100の点数で評価するシステムを考え出した。この評価は、ショットの位置、ショットを打つ選手、ショットのオープン度合、オフキャッチかオフドリブルか、などに基づいている。例えば、優れたシューターが放ったキャッチ&スリーは50点、つまり1.5点の価値があるということだ。ガーズバーグがすべてのショットをチャート化し、クラツキーがテープを見返しながらチェック。

クリスマス休暇に、ガーズバーグは、複数のプレイバイプレイデータを使い、この作業を自動化できないか、と考えた。そのアルゴリズムが弾き出したものは、彼が手作業で追跡していたものとほぼ同じものだった。彼は、コルゲート大学コーチ陣にその成果を見せた。「彼らはものすごくショックを受けていた。」

そのシーズンの残りの期間、ガーズバーグはすべてのショットを手作業で追跡し、自動化されたデータを照合し続けた。常に1点差以内だった。シーズン終了後、彼はカレッジバスケットボールとNBAの全チームについて、スプレッドシートでやっていたことをプログラム化することを学んだ。そして、ビジネスが誕生したのだ。

2020-21シーズンは、基本的に概念実証のシーズンで25チームがShotQualityにサインアップ。昨シーズンは、60チームと500人のベッター(!)がこのサービスを利用。

ガーズバーグは、学校を辞めてまで、自分自身に賭けたのである。4年生になるはずの1学期は授業に参加せず、春には2科目だけ履修した。大学を中退することになったが、当初、両親はこの決断をあまりよく思っていなかった。そしてこの夏、ガーズバーグはShotQualityの第1回資金調達ラウンドで300万ドル以上の資金を得た。

「それもあって、両親は私が学校を少し休むことをOKしてくれているんだ。」

今シーズンは、コンピュータービジョンを使ってフロアのプレーヤーを追跡し、これまでスクリーンから追跡していたのと同じデータを抽出して、すべてのショットの距離とディフェンダーがシューターにどれだけ近いかを正確に伝えるサービスを提供する予定だ。ガーズバーグは、ワシントンウィザーズのニールジョンソンを雇い、コンピュータービジョンのツールを自分のサービスに追加させた。2020年に開催されたMIT Sloan Sports Analytics Conferenceで、ジョンソンはNBAではなく大学に注力するようプレゼン説得したとのこと。NBAには、アリーナ周辺のカメラを使ってすべての選手の動きを追跡する「セカンドスペクトラム」があると、ジョンソンは説明。ShotTrackerは大学向けに同様のサービスを提供しているが、アリーナにこの技術を導入しているのはBig12とマウンテンウェストのみ。

「コーチングにアナリティクスを使うのはとても良いことだが、それと対になるフィルムがあれば、さらに価値がある。」とゴールデン。「私の考えでは、ショットセレクションを教えるのは、フィルムなしでやろうとするより簡単な方法だ。」

   

コルトンヒューストンは、アラバマ大学でエイブリージョンソンの下でDOBO(オペレーションディレクター)を務めていた時に、分析のムーブメントに魅了された。クリムゾンタイドの在任期間の終わり近く、アラバマは卒業生であるマットドーバーをスケジュール管理のコンサルタントとして起用。ドーバーは、政治や選挙の予測に携わっており、データモデリングの専門知識はカレッジバスケットボールに使えると考えたのだ。 その後、ヒューストンはドーバーに自分たちの分析会社を立ち上げるよう持ちかけた。

「正しく使えば強力なツールなので、いずれカレッジバスケットボールでもNBAと同じような影響を与えることは必然のように思えた。」(ヒューストン)

彼らの会社、HDIntelligenceは2019年4月に設立。第1期はアラバマ、シンシナティ、デイトン、インカーネイトワードがクライアントだった。今シーズンは社員が11人になり、70~80チームと仕事をする予定だ。また、最近SECと契約を結び、リーグの全チームのスケジューリングに関するコンサルティングを行うことになった。

Jam Basketball Intelligenceを運営するパトリックステイシーも、同様のコンセプトを持っている。ガーズバーグと同様、彼もロヨラシカゴの学生時代にボランティアとして活動を開始した。大学卒業後、彼はCDW社に金融アナリストとして就職したが、ロヨラシカゴのコンサルティング業務は続けた。ボランティア活動のために休暇をとることが2シーズン続いた後、それを仕事にすることを決意した。彼は昨年、7つのチームと仕事をし、特にカンザス大学と仕事をした。彼は前のシーズンに構築されたベイラーのスカウティングレポートをACカーティスタウンゼントに送り、ジェイホークスと契約した。

ポメロイ:「私が起業してウェブサイトのコードを書いたときは、本当に手間がかかって大変だった。今はデータがあって、ある状況下で何が重要かを把握したい場合、そのデータを切り刻んで、短時間で意味のある洞察を導き出すことはとても簡単だ。」

カレッジチームは、この作業を自分たちでもできるが、ヒューストンはよりコストがかかると言う。また、分析担当者が優秀であれば、NBAや他チームに流出するリスクもある。

ヒューストンは、データだけでなく、そのデータを説明し、どのように練習に生かしていくかが重要だと言う。そこで、ヒューストンとステイシーは、数字を使って優位に立ちたいと願うコーチたちに、真の価値を提供することができると考えている。

「アンチ・アナリティクスのコーチは少数派だろう。」(ヒューストン)「10年前はそれがコーチの大半だったかもしれないが、今はかなり少数派だと思う。もし、10年前にこの会社を立ち上げようとしたら、今ほど関心を持たれなかっただろう。」

ゴールデンは、自分のような若いコーチがプログラムを引き継ぐようになる今後10年間で、ほとんどのメジャーなプログラムには分析専門のスタッフが配置されるだろうと考えている。

だからといって、(外部の)第三者が排除されるわけではない。例えば、BYUコーチ・マークポープは、3年前にキーガンブラウンを分析およびビデオ担当ディレクターとして採用。ブラウンはチーム内での分析業務に加え、ポープがどの”チーム外プロダクツ”を使用するかを決める手助けをする責も負った。昨シーズン、BYUはShotQuality、Synergy、HDIntelligence、Just Play Sports Solutions(仮想プレイブック)、Noah(ショットの行方を追跡するカメラシステム)と契約している。

アーカンソーのコーチ、エリック・マッセルマンは、NBAではコーチではなくゼネラルマネージャーがそのような人々を雇うので、分析への投資がより多く行われるのだと考えている。

マッセルマンは、長い間、データを支持している。例えば、父親であるビルが何年も前に考え出した1分あたりのリバウンド数という指標を今でも使っている。彼はスタッフに「マネーボール」を読ませ、他のチームがどのように分析を用いているかという話を定期的にしている。最近、彼が興味を持っているのは、(アメリカン)フットボール界がこの分野で進化していることだ。彼はロサンゼルスチャージャーズを訪れ、ブランドンステイリーの4thダウンでのゴーサインの傾向について詳しく調べた。

「ステイリーコーチがうまくやっているのは、彼がヘッドコーチだからだ」(マッセルマン)「彼はそれを信じているし、それを受け入れている。他のコーチたちは、”砂の上の一線”があり、分析とコーチングスタッフの間に摩擦がある。

長い目で見た時、1勝か2勝かの差になるような、エクストラポイントやポゼッションをあちこちに作り出すことが重要なのだ。それがNCAAトーナメントに出場できるか、あるいはトーナメントでさらに1ラウンド進むかの違いになるのならば、その投資に見合うだけの価値がある。

ポメロイ:「これだけ多くのプロダクツが出回り、多くのデータが利用できるようになると、そのデータを適切に利用するための技術が必要になるという、実に興味深い段階に来ていると思う。」「フォーファクターを見て、それが何を意味するのかを解釈するところから、ずいぶん遠くまで来たものだ。今は、データを間違った方法で使ってしまう可能性があるところまで来ている。何が有用で何が無用なのか、その限界を理解することが、今後の発展につながっていくと思う。

このようなサービスに登録して、すぐに有利になると考えるのは、もう時代遅れ。このデータをどのように使って、アドバンテージを得、チームをより良くしていくかを具体的に考えなければならない。

   

データの、「その次」

この記事が、私のような人間にさえ読まれたということは、ゴールデンがvsパシフィック、vsブリガムヤングで取ったような戦略は秘密でもなんでもなくなったことを意味します。

※しかし、個人的に、「前半終了間際にファウルゲームでFTを打たせてエクストラポゼッションを得る」とか、「単にFT%が低いだけでなく、ベストリバウンダーにファウルショットを打たせてリバウンドの機会を奪う」というのは印象に残りました。

   

ケンポンさんが言うように、「データの使い方」がさらに重要になる時代に突入していくのでしょう。

   

コルゲートに注目!

文中のカレッジ。

ディフェンディングチャンピオン・カンザスはもちろん、フロリダやアラバマ、さらにアーカンソーといったハイメジャー校にも注目ですが、、、

コルゲート!

懐かしの、アドナルフォイルの母校であるこの小規模私立校は、そのフォイル時代含め、わずか6回のNCAAトーナメント出場ながら、うち3回が2019、2021、そして2022(!)※2020は中止

この戦績に、データ分析、そしてガーズバーグが貢献したことは間違いありません。

当時のAC、クラツキーはこの5月に、スパイクリーの母校で有名なディビジョン3校、ニューヨーク大学(NYU)にヘッドコーチとして去りましたが、HCマットランゲルは健在。2022-2023シーズンも、所属するペイトリオットリーグの優勝候補であり、7回目のNCAAトーナメント出場は実現の可能性大。

   

そして、このコルゲートからオファーを獲得しているのが日本人選手、テーブス流河!

現段階で、ほかにUMass、ロヨラシカゴ、ロードアイランド、ホーリークロス、フェアフィールド、コロンビア、そしてペンシルバニアからオファー。

A10(アトランティック10)校などにも惹かれますが、コルゲートも非常に魅力的なスクールと言えます。

(コーチがヘッドハンティングしてされてしまう確率も高くなるので、難しい選択ですが)

楽しみです!

   

> ガーズバーグの記事

> データ支持者のマッセルマン

   

> フロリダ大学新HC、トッドゴールデンのリクルーティングトリップ①

> フロリダ大学新HC、トッドゴールデンのリクルーティングトリップ②

予算が小さいサンフランシスコでは考えられなかった、プライベートジェットで飛び回る。

その限られたリソースで結果を出して、ミリオネアコーチに栄転する。それもNCAAカレッジバスケットボールですね。

ゲイターズがどういう選手を獲得するのか、興味津々です。

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