NCAAディビジョン1バスケットボールのカンファレンス
2017年のNCAAトーナメントが間近に迫ってきました。
今回からカンファレンスごとに、NCAAトーナメントへの出場校予想をしていきたいと思います。
2017年3月現在、合計351校からなるNCAAディビジョン1のバスケットボール。この351校がそれぞれ、計32のカンファレンスに属しています。
近年、バスケットボール以上のお金が動くとされるディビジョン1フットボールの都合もあって、このカンファレンスの再編が大きく進みました。
簡単にですが、順番に紹介していきたいと思います。
NCAAトーナメント出場校
NCAAトーナメントの出場校は68。68/351。
そもそも奨学金を得て選手になることが難しいディビジョン1全校のさらに2割弱ですから、「出場できるだけで大変な名誉」とされるのは理解できます。この点、非常によく似ているとされる、夏の全国高校野球選手権と同じです。
実質的に、シーズンの最後に行われる一発勝負のトーナメント。
違う国の、違うスポーツ。お互いを意識したことなどないはずですが、NCAAバスケットボールトーナメントと夏の全国高校野球選手権は実によく似ています。
異なるのは、NCAAトーナメントに”甲子園”という会場固定がないことと、出場校が基本”選抜形式”であること。
レギュラーシーズンを終えているカンファレンス、既にレギュラーシーズンチャンピオンが決まっているカンファレンスもありますが、3月1日現在、NCAAトーナメントへの出場を決めている学校は「一つもありません」。
出場資格は、まずレギュラーシーズン後に行われる各カンファレンストーナメントで優勝すること(計32校)、そしてセレクションサンデーと呼ばれる、NCAAトーナメント直前に行われるコミッティ(委員会)による選考イベント(2017年は3月12日)で選ばれることです。
このセレクションサンデーで組み合わせ、シード順位も決定され、高校野球のような、チーム主将が参加するような抽選会は行われません。
コーチともども選手たちは、生中継される”セレクションサンデー”をキャンパスで視聴することが通例です。
なお、選考にあたってはAPなどのメディアランキングよりもRPIという指標が使われることとなっています。
5つの強力カンファレンスと、2つの準ハイメジャーカンファレンス
大まかに言って10から15校ほどで構成される各カンファレンスですが、計32のカンファレンスから平等に(2校ずつなど)選ばれるわけではありません。
カンファレスには昔からレベル格差があり、それに合わせて出場校の数も変わります。
例えば2016年のNCAAトーナメントの、各カンファレンス別出場校分布は以下の通りでした。
*渡邊雄太選手のジョージワシントン大学が属するアトランティック10は3校、八村塁選手のゴンザガ大学が属するWCCは1校のみの出場ですね。
ほとんどのカンファレンス、23のカンファレンスが1校のみのNCAAトーナメント出場なのに対し、最多7校の出場を果たしているカンファレンスも存在します。これがカンファレンスのレベルの差、格差です。
今回は(主にフットボール主導ではありますが)、ディビジョン1を牽引する5つの強力カンファレンスと、それに続く準ハイメジャーカンファレンスについて、NCAAトーナメント出場校を予想していきます。
*順位表はすべてESPNから。出場校予想はコチラから。*繰り返しますが、レギュラーシーズン最下位であってもカンファレンストーナメントで優勝すれば自動的にNCAAトーナメント出場決定です。
ACC(アトランティックコーストカンファレンス)
現在のAPランキングトップ25に最多6校を送り込んでいる最強カンファレンス。
”殺人リーグ”とまで呼ばれるレベルの高さは昔から有名。
再編により、ビッグイーストからシラキュース、ルイビル、ピッツバーグにノートルダムを迎え、そのレベルはますます高くなっています。
*右のOVERALL(通算成績)でほとんどの学校が勝ち越しています。これはシーズン序盤のノンカンファレンスゲームで多くの学校が好成績を残したからです。ここからもACCなどのレベルの高さがわかります。
ランキング校のノースカロライナ、ルイビル、ノートルダム、デュークにフロリダステイトまでは、レギュラーシーズンの残りゲームやカンファレンストーナメントの勝敗がどうなろうとも、NCAAトーナメントへの出場が確定と言っていい状況です(ひどい負けならシード順位が下がる)。
それ以下の選考が非常に難しいです。ランク校バージニアはマイアミに敗れてしまいましたが、直近のゲームでノースカロライナをやぶる金星。一方マイアミはデュークにも勝ったと思いきやバージニアテックに敗退。バージニアに1勝1敗のバージニアテックはここにきて3連勝。全く予想がつきません。。。
ACCのレベルの高さを物語っています。
上のリンクの予想では、デュークを劇的ブザーでやぶったシラキュースを含め、なんと9校出場の予想。これはないと思いますが、8校の出場は十分あり得るシーズンでしょう。
今年はブルックリンネッツのホーム、バークレーズセンターで行われる、カンファレンストーナメントは物凄いことになりそうです。
レギュラーシーズンも、ノースカロライナの優勝は決まっていますが単独かはまだわかりません。
最後のゲームはvsデューク。
これほどエキサイティングなカンファレンスはないでしょう。
BIG12(ビッグ12カンファレンス)
フットボールで有名だった名門ビッグ8カンファレンスが母体。そこに解体したサウスウェストカンファレンス(SWC)からテキサス、テキサステック、ベイラーなどが加わわりました。
「12」ですが、再編により10校しかありません。
今季ACCに次ぐレベルとされたのがビッグ12。
やはり牽引したのはカンザスでした。すでに単独優勝を決めています。
ウェストバージニア、ベイラーに、ランキング入りしたアイオワステイトまではNCAAトーナメント出場当確。
オクラホマステイトまでを含めた5校出場となりそうです。
カンファレンストーナメントはカンザスシティで。
PAC12(パック12カンファレンス)
名前のとおり西海岸とアリゾナ州のメジャー校で構成されていたパック10に、ユタとコロラドを迎えました。
こちらも常連校が並びます。
オレゴン、アリゾナにUCLAで争うレギュラーシーズン優勝の行方はまだわかりません。
Calことカリフォルニアまでは出場決定でしょう。
ランキングに顔を出していたUSC含めた5校が出そう。
通算10敗しているユタはこのままではNIT。
今年のカンファレンストーナメントはラスベガスで開催。
BIGTEN(BIG10、ビッグテンカンファレンス)
五大湖周辺のメジャー校が集まる、フットボールも強い名門カンファレンス。
最近メリーランドとネブラスカ、ラトガースが加わりました。
こちらは「テン」ですが、14校が所属。
今季はやや低レベルとされています。
パデューのレギュラーシーズン優勝は決まりですが、単独かどうかはわかりません。
ウィスコンシン、メリーランドまではNCAAトーナメント出場当確ライン。
毎年終盤に力を発揮してくるミシガンステイトとミネソタも。
全米が注目しているのがシカゴのノースウェスタン。カンファレンス唯一の私立校であり、アイビーなみの学力を誇る超名門校。メジャー校の中でNCAAトーナメント出場を果たしていないただ一つの学校ですが、ついに訪れたチャンスです。ただしミシガン、アイオワとも競っており、ここは目が離せません。
一方で、インディアナが沈んだのは残念です。
カンファレンストーナメントはワシントンウィザーズのホーム、ベライゾンセンターで行われます。
SEC(サウスイースタンカンファレンス)
これも名称通り、主に南東部のメジャー校で構成。
最近、ミズーリ、テキサスA&Mを加え、計14校に拡大。
フットボールの強豪校が集結。
アラバマはもちろん、テネシー、LSU、フロリダ・・・フットボールが強すぎて、近年バスケットボールはやや低迷。例外がフットボールは弱いバスケットボール校ケンタッキーです。フロリダとともに牽引。
20勝到達のサウスカロライナ、アーカンソー含め、4校は当確。以下、大混戦です。
今年のカンファレンストーナメントはテネシー州ナッシュビルのブリヂストンアリーナで。地元バンダービルトの巻き返しにも期待。
BIGEAST(ビッグイーストカンファレンス)
ハイメジャーと言っていいカンファレンスですが、シラキュースなどが抜け、フットボールチームが弱い(もしくは存在しない)学校構成のため「準」扱いとなっています。
が、昨季優勝校ビラノバを出した、バスケットボールに関しては上5つに劣らない、正真正銘のハイメジャーカンファレンス。カトリック系私立10校がメンバー。
ビラノバがレギュラーシーズン優勝を決めました。
そのビラノバをスウィープしたバトラーと、ネブラスカ州のクレイトンも当確。
ESPNの予想ではACCに次ぐ7校出場となっていますが、、、微妙なところです。
カンファレンストーナメントは毎年マジソンスクエアガーデンで開催。
あえてバスケットボール界の”甲子園”を決めるならここでしょう。
世界で最も有名なアリーナで行われる、最も人気のあるカンファレンストーナメントとして知られます。
昨年のファイナル。ゲーム前に興奮が最高潮に達する最高の雰囲気です↓
AMERICAN(アメリカンアスレティックカンファレンス)
上6つのカンファレンスに比べると全体レベルは劣りますが、UConnことコネティカットとシンシナティというエリート校を擁します。
ラリー・ブラウンが辞任しましたが、その”遺産”でダラスのサザンメソジスト(SMU)が奮闘。いよいよシンシナティとの優勝争いに終止符が打たれます。この2校のNCAAトーナメント出場は確実。
古豪ヒューストンは20勝到達の好成績ですが、「勝利の品質」が伴っていない、との評価。出場は微妙です。
今季のUConn低迷は残念。カンファレンストーナメントはそのコネティカットのお膝元、ハートフォードで行われます。
以上7つのカンファレンスで、NCAAトーナメント出場全68校中なんと3分の2にあたる40校ほどを占めてしまうことになります。
そしてこの50年間、NCAA優勝校はこれらのカンファレンスからしか誕生していません。
アップセットが多いとはいえ、2017年もこの7つのカンファレンスから、第79代NCAAバスケットボールチャンピオンが生まれることはほぼ確実です。
→NCAAトーナメント2017出場校予想②-ミッドメジャーカンファレンス
→NCAAトーナメント2017出場校予想③-ロウメジャーカンファレンス