バージニア大学キャバリアーズのバスケットボール
Week15にしてAPランキング1位獲得。実に35シーズンぶりとのことです。
昨季のノースウェスタン同様に注目しています。
シーズン前の評価はランク外。
デュークやケンタッキーに比べるまでもなく、今季のバージニアは圧倒的な才能に恵まれているわけではありません。
彼らのスタイルには、弱者が強者に立ち向かうヒントが多く隠されています。
スタートはカイルガイ(6-2、2年生G)、デボンホール(6-5、4年生G)、アイザイアウィルキンス(6-7、4年生F)、ジャックソルト(6-10、3年生C)、そしてタイジェローム(6-5、2年生G)。
ベンチからディアンドレハンター(6-7、レッドシャツ1年生G)、ナイジェルジョンソン(6-1、4年生G)に、ママディディアキテ(6-9、2年生F)。
2年生トリオと1年生のハンターらは素晴らしい選手ですが、それでも同じACCカンファレンスのデュークやノースカロライナなどに比べればリクルートは難しい。
(もはや現代バスケットボールにおいてはそれほど重要ではなくなってきてはいますが)サイズも大したものではない。*ですが、比江島慎や金丸晃補でさえも、どうしてもガイやジェロームといった20歳そこそこの白人ガードたちに及ばない。いまだにその差は大きいです。
スタッツ*ESPNより↓
2桁得点者がわずか2人。これで全米ランキング1位。この、どこかで見たことがあるスタッツは、ジョージワシントンと似たものです。
バージニアは近所のジョージワシントンと同じく、ディフェンスのチーム。
チームスタッツ↓
失点と、相手に許したアシスト数が全米一少ないチーム。
そして昨季のノースウェスタン同様、アシスト/ターンオーバーの比率が非常に高い。
ものすごいディフェンス力がうかがえる一方、ショットセレクションの良さも目立ちます。
左側、オフェンスの数字は大したことありません。これで全米ナンバーワンチームです。
上背で渡邊雄太選手に劣りますが、ブロックは4年生、アイザイア・ウィルキンズに注目です。
素晴らしいの一言。ボールを大切に扱う。簡単にボールを取られない。
アメリカで最もターンオーバーをしないチーム。これも大きなヒントですね。
アメリカで2番目にファウルをしないチーム。通常ディフェンスのチームにはファウルがつきもの。
いかにロースコアであるとはいえ、この少なさは・・・
バージニア大学のX's&O's(ディフェンス・オフェンス)
攻守に、世界的に有名な特徴があります。
パックラインディフェンス
日本でももはや有名。
バージニア大学ヘッドコーチ、トニーベネットのお父さんディックが編み出し、ウィスコンシン大学グリーンベイ校でプレイしたトニーに引き継がれました。
こちらが一番わかりやすいと思います↓
こういったディフェンスを採用する際、ピック&ロールへの対応ももちろんですが、それ以上にボールマンとの1対1をおろそかに出来ません。
ピンスクリーン
まずこちらの最新記事。
なかなかファイナルフォー進出ができないバージニアが新たに採用。
ムーバーブロッカーオフェンス
こちらを。もともと実行していたオフェンスです。
それなりに難易度は高い。
デュークはじめ、オフェンスに力がある相手には基本的にバージニアは速攻を出しません。
ショットクロック残り10秒切ってからのショットが通常ですが、クロックが24秒だと多少やりづらさはあります(NCAAでは30秒)。
上リンクにあるとおり、プリンストンオフェンス同様、パターンドオフェンスではありません。
オフェンスについてはこちらも。ごくごくシンプルな、BLOB(ベースラインアウトオブバウンズ)からのフレックス。1本欲しい時にどうぞ(笑)↓
→2016年NCAAトーナメントの記事。エリートエイトまで進みながら、この時はシラキュースに敗退。
コモンウェルス(州)対決
バージニアのゲームはとにかく遅い。
才能で劣るチームの、いわば常識的な戦略です。
「丁寧にボールを扱うこと」。
ターンオーバーをしないこと。
良いショットを作り、選ぶこと。
そして同じように、5つ星選手の獲得がなかなか難しいのがバージニアコモンウェルス(VCU)。
こちらは"HAVOC"に代表される、アップテンポなスタイル。
およそ100キロほどしかキャンパスが離れていない、この両校の毎年の対戦は面白い。
ヘッドコーチ、トニーベネット
さて、トニーベネットです。
パックラインディフェンスを引っさげ、成果を出すのが難しいとされるバージニア大学HCとして9年目の48歳。
ことごとくACCで憂き目にあってきた歴代コーチを尻目に、その勝率は7割を超え、プログラム史上最高のコーチと評価されるところまできました。
ですが、彼もまた、ファイナルフォーには一度も進出できていません。特に2014年、2015年と、評価が高かったにもかかわらず、連続でミシガンステイトには敗れたのは屈辱でしかないでしょう。
先日の@フロリダステイト、そして敗れたバージニアテック戦。
得意のロースコアゲームに「付き合える」チームには弱い。連敗したミシガンステイトもたしかに”そういう”チーム。
トップランク獲得に続き、リックカーライルやオルデンポリニスらの時以来の、34年ぶりのファイナルフォー進出を果たせるでしょうか。
ベネットの地元、ミルウォーキー・バックスがジェイソンキッドを解任。後任候補にベネットの名前があがっています。
1994年。
カリフォルニア大学2年生のジェイソンキッドの、カレッジキャリアを終了させたのは、トニーベネットのお父さんディックが率いたグリーンベイ(UWGB)によるアップセットでした。
→バージニア大学の紹介。*また更新いたします。
バージニア大学は、公立の学業優秀校”パブリックアイビー”の1校に数えられるほどの名門(ほか7校は同じバージニア州にあるウィリアム&メアリー、ノースカロライナ、バーモント、ミシガン、テキサス、マイアミ(オハイオ州)とカリフォルニア大学(UCLA、バークリー、サンディエゴやサンタバーバラなど、とするのが一般的)。
キャンパスのあるシャーロッツビルは人種差別問題で揺れていますが、”キャバリアーズ”がさらに明るいニュースを届けられるか。