初めて2日間にわたる開催となり、今年も盛況に終わった2024NBAドラフト。
一方で、これまでなら間違いなくエントリーしていた選手がドラフトから撤退し、NCAAカレッジバスケットボールに戻る選択をするケースも目立ちました。
今回は、そんなNBAドラフトとNCAAバスケットボールの現状を。
もちろん(?)"NIL(Name, Image and Likeness)"が関わってきますので、過去の投稿もせびご覧ください。
> レブロンの息子は?富永啓生選手は?NILで稼ぐNCAA選手
> NCAAとNIL~注目・人気の男女バスケットボール選手ランキング
> NCAAとNIL~ミシガンステイト大学バスケットボールのケースなど
> NCAAカレッジバスケットボール2021-2022~"NIL"とは
NBAドラフト2024から撤退した選手たち
5月29日。
いつもどおり、NBA側の評価が高くないと悟った選手がドラフトから撤退し、NCAAに戻る(あるいはトランスファーポータルに名前を載せる)ことを決断。
いつもと異なるのは、有望とされた2巡目指名候補度選手がカレッジに戻ることを決めた点です。
アレックスカラバン(コネティカット)、ハンターサリス(ウェイクフォレスト)、そしてマークシアーズ(アラバマ)らが、その例となる選手たち。
これまでなら間違いなくそのままNBAドラフトにエントリーし、可能性と引き換えにできるだけ多くの金銭を獲得、契約更新を狙うレベルの選手たちでしたが、そうはしませんでした。
NCAAに戻っても、NILで十分稼げるという計算があったからです。
グレートオソボー(モンタナステイト→ユタステイト→ワシントン大学)のニュース
大きく影響したと言われているのが、グレートオソボーのニュース。
スペイン生まれのイギリス人であるオソボーも、NBAドラフトへのエントリーが予想されていましたが、200万ドル相当(日本円でおよそ2億9千万円!)のNIL契約を見込めると踏み、最終的にワシントン大学(シアトル)へのトランスファー(2度目)を決めました。
このオソボーの決断が、他の選手にも影響したと言われています。
大金を手に入れられるのであれば、スター扱いされる大学生活は決して悪いものではないからです。
もちろん、オソボーほどの金額を獲得できる選手はNCAAディビジョン1の中でも限られますが、NBAが2ウェイ契約で示している、無保証の金額55万9782ドル(日本円でおよそ8,200万円ほど)以上を稼げる可能性のある選手が、大学に戻るのは不思議ではないでしょう。
※オソボーが大学に残る決断をしたのはお金も大きな要因ですが、師となるコーチも大きかった。ダニースプリンクルは、母校モンタナステイトでのヘッドコーチデビュー以来、オソボーの加入後 >ユタステイト、そして>ハイメジャー・ワシントンと出世。二人三脚で過ごしてきています。
賛否あるのは当然ですが。
もはや、NCAA(バスケットボールに限らない)はプロへの踏み台というものではなくなった感があります。
NILはGリーグイグナイト消滅の大きな要因でしょうし、オーストラリアNBLのネクストスターズやオーバータイムエリート(OTE)にも大きな影響を与えます。
※下記リンクは、ついこの間書いたような気がする投稿です。アメリカの、”こういう”スピードはいつも早いのですが、それにしても・・・わずか4シーズンで終了したイグナイトとは、NCAAへの制度改革を迫る捨て石だったのではないかと疑うほどです。
> ジェイレングリーンがNBA・GリーグIGNITE(イグナイト)へ
大学にGM?NCAAとNILマネー
もう止まりません。
ミリオネア大学生選手が常態化(!)するのでは、とも言われ始めています。
最大のニュースはこちらですが、クーパーフラッグは従来通りのワン&ダンで、2025年NBAドラフト指名を受けるでしょう。(1位かどうかはまだわかないですが)
※”地元”ニューイングランド・メイン州出身のフラッグが、ニューバランスと契約したことに何も驚きはありません。デュークはNBと犬猿の仲であるナイキ契約校ではありますが。。。
クーパーのお母さん、ケリーの母校メイン大学とゲームを組んだのは面白い。どうせなら、メインのホームゲームが良かったですけど。> デュークのNon-Con(ノンカンファレンス)スケジュール
レイチェルベイカーという方がいます。
肩書は、デューク大学バスケットボールゼネラルマネージャー。
先駆けと言っていい、2022年6月に就任した彼女は、選手のNIL契約に大きな役割を果たします。*因みに、ナイキとNBAでの勤務経験があるとのこと。フィラデルフィアのD1、ラサールの元ラクロス選手。
そうです。NCAAの「バスケットボールプログラムに」、GMポジションが増えてきているのです。
> バトラー大学はNBAミルウォーキーバックスからトニーボリアーを採用
> (College of)チャールストンには、クリステンカニンガム
> シラキュースはNBAニューヨークニックスからアレックスクラインを引き抜き
プレイヤーディベロップメントを兼任しているケースが目立ち、これは一方では”選手の価値の見極め”を担うことを意味します。
> ケンタッキーにはマークフォックス*フォックスはネバダ時代のニックファジーカスの師
・・・
本当にすごい時代です。
彼ら彼女らは、バスケットボールプログラムの選手編成に大きな役割を果たしています。
特にフットボールにおいて、NCAAに元々こういう仕事は存在しましたが、より深い仕事をするようになった、というところでしょうか。
NILは、選手に金銭的な恩恵をもたらしただけでなく、スタッフの雇用も生み出したわけです。
留学生とNILは?NCAAに向かう日本人選手たち
上に書いたとおり、ワシントン大学のオソボーは非アメリカ人。
こうなると、学生ビザ(F-1)で渡米している彼の収入には制限がかかるはずです。
が・・・ケースバイケース。報酬を得ていることは全く珍しくないようです。
バスケットボールも含め、多くのNCAA留学生選手はNIL目当てではないようですが、ともかくその数は増えています。> こちらでも書きました。
> 2024-2025シーズンは、NCAAバスケットボールディビジョン1にて、日本人男子選手数が初の2桁!
日本人NCAAアスリート
さて。
バスケットボールとフットボールの2大スポーツに比べれば、あまり儲からないとされるNCAAの他スポーツ。
ここでも、日本人選手の台頭が目立ちます。
一番大きな話題となったのは、スタンフォードに進んだ、野球の佐々木麟太郎選手ですが
> ナンバーの記事①
個人競技でも
> ナンバーの記事②
NILは関係なし。NCAAアスリートはその後のキャリアでも成功できる(?)
元々、特に個人競技において、日本人のNCAAアスリートは存在しました。
ディビジョン1の学校に留学していた、という一般学生の方は数えきれないほどいますが、これまでに2人、アスリートの方と出会いました。
現在、揃って外資系企業にて要職に就いており、共通していたのは高校からアメリカで過ごしていること。そのせいか、英語力は非常に高いのですが、強いリーダーシップを備えていました。
悪く言えば”ハッタリ”が効き、物事を大きくとらえているのが印象に残っています。一方で、細かいことはわかっていない、わかろうとしない(笑)
彼らを見ていて個人的に思うのは、「D1アスリートというのはビジネスでも成功できるようになっている」ということです。抽象的ですみませんが。
”ネタ”を、書き残しておきます。
お1人はロサンゼルスのUSC(サザンカリフォルニア大学)、トラック&フィールドの”長距離”出身。
「かつての人気ドラマ、ビバリーヒルズ青春白書の撮影舞台となった高校出身」*ノースカロライナ大学に進み、Bリーグ・信州でもプレイしたデオントンプソンと同窓。
「高校卒業後は早稲田の陸上に入ることも考えた」
「ハロルド”ベイビージョーダン”マイナーと同世代だが、彼を教室で見たことがない」
「(当時のUSCバスケットボールチームのエース)ロレンゾオアと、(WNBAレジェンド)リサレスリーと仲が良かった。彼らは付き合っていた(笑)」
もう1人は、ボストン大学(カレッジではなくユニバーシティのほう、BCではなくBU)のゴルフ。
「高校はフロリダエアアカデミー(現在のフロリダプレップ)」*カンザスに進んだロシア人ビッグ、サシャカーンと同窓。
「(テニスの)ビーナス・セリーナウィリアムズと同世代で、地元紙に一緒に名前が載った」
「(ゴルフで有名な)アリゾナステイト進学が決まっていたが、親に猛反対されBUにした」
プロに近い環境にいながら、学業もハイレベル。
甘くはない世界ですが、その先には華々しい未来が開ける。
必ずそうなる、とは思いませんが、得るものが大きいのは間違いありません。
> 参考記事①
この部分は注目、そして戦慄↓
As NCAA basketball evolves with a revenue-sharing model, on top of NIL perks, it may start to resemble leagues like the NBL or the EuroLeague, transforming into an international game with broad appeal. Don't be surprised when you see blue blood schools with deep pockets, like Kentucky, playing a broader international schedule in hopes of expanding their overseas market (they might even interrupt conference play for an international trip just to get more eyes on the game). Or, when the next Luka Doncic does a year at UCLA (because we all know how Mick Cronin feels about a good international prospect).
And don't get beside yourself when seven-figure paydays become the norm in college basketball -- even for players you've never heard of.
For the first time in the NBA's modern era, it's now legally more profitable to be a college basketball star than a fringe NBA benchwarmer.
> 参考記事②
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